ChatGPTなどの生成AIがすごく流行っている。私も公私問わずによく使っている。たぶん使ったことがない人はもはやいないのでは。というぐらいに便利。
例えば仕事上での使い方としては、お客さんの課題に対して技術を使ってどういう実現方法が考えられるか?という大枠のアイデアは結構考えてもらっている。じゃあ実際にプロトタイプを作ってみようとというフェーズになった場合も例えば、どんなパラメータの設定を行うのか、どのようにコーディングするのか、なども聞く。以前も書いた気がするが、最近は結構使えるようになってきているのだ。
その他にも、ざっくりプロジェクト推進上の現在の課題と対策案を教えてもらうこともある。どちらかというと対策を打っていくために教えてもらう、というよりはお客さんに対策案を伝えるために形式的な文書をまとめてもらう、というのが主な目的になる。
というのも、これは個人的な見解だが、プロジェクト推進上の問題に対する対策案というのはほとんど定石的な考え方があるけれど、現実的にはその通りに対策を実行するのが難しい、ということがほとんどなので、ChatGPTに聞いたところでプロジェクトの問題が解決するわけではない。
もっとどうでも良いことにも使う。例えば最近私はプロジェクトを離任したので離任の挨拶とかを考えてもらった。別に事前に準備するほどのことでもないが、上手く話せないのは困るし、かといって準備に時間や思考を使いたくないので、意外とそういう作業に使うのもアリだと思う。
「離任の挨拶を考えてください。考える上で必要な情報は私に質問してください」みたいなお願いをすれば、質問という形で挨拶に必要なフレームワークがはっきりする。あまりやったことはないけれど、どんな人に何を伝えたいかをインプットすれば、資料構成のアイデアとかもそこそこ筋の良いものを出してくれる気はする。
プライベートでいうと、資格試験の解答に関する解説などを聞いて、内容を深ぼっていくことができる。例えば理系の学問や計算問題など誰が見ても明らかに正解が一つと考えられる問題ではなく、国語の読解問題のようなどうやって解釈すればその解答にたどり着くのかがわからないような問題はとことん聞いてみると良い。
もちろん、ChatGPTが全面的に正解、とはならない点には注意が必要であるが、どのように解釈をしているのかやその解釈が本当にあっているのか、などは理解を深めるのに役に立つと思う。
他には、ある特定の条件に一致する子どもの名前(二文字の、◯という文字を含む名前、など)の候補を大量に挙げてもらったりした。もちろん、どう考えても名前とはなりえないような文字列や条件を満たしていないものが含まれたりもするが、たくさんのアイデアを短時間で生成するユースケースも適していると思う。
これらのことから何が言えるかというと、「考える仕事」のファーストステップはChatGPTにお願いすればやってもらえる、ということなのだ。逆に言うと、生成AIという名で呼ばれてはいるものの、最終的にた使えるアウトプットを出力することはできない。あくまでプロトタイプである。人間による検証が必要なのだ。
私は生成AIの登場は自分を脅かす反面、とても望ましいことだと思っている。それはこれまで漠然としたアイデアを考えているだけなのにすごく大きな得をしている人の価値が下がり、最終的な形に仕上げることの価値が上がっていく気がするからだ。
どんな仕事もいくつかのフェーズに分かれる。例えば私の感覚では、0→1(何をやるかを考える)、1→10(考えたことを詳細化する)、10→80(具現化する)、80→100(最終化する)などのフェーズに分かれていて、それぞれ役割が異なる。
実際にはすべてのフェーズに価値があるが、なぜか上流(0→1や1→10)の方が下流(0→80, 80→100)よりも価値があると考えられているのが現実ではないだろうか。上流の方が難易度が高く、人材も少ないと考えられているからだ。
でも、本当は上流をやる人は少なくて済むだけであり、下流と上流では要求されるスキルが異なるだけではと思うこともある。事実、今コンサルタントとして働いているが、それほど大それた仕事をしているという感覚はない。やっていること、役割が違うだけだ。
そういうバケの皮が生成AIによって剥がれるのが少し楽しみではある。そうなったときにアイデアしか出せない人間、コンサルしかできない人間は弱い。ただし、上流も下流もできる人間に、上手く生成AIを使って価値を最大化していくことができる。
これまでアイデアがないばかりに口だけの人間にこき使われていた人こそ上手く活用できると良いなぁと思う。