∑考=人 〜プロメテウス〜

そして今日も考える。

お金を貸す前に

パチンコ屋で働く人はお金にルーズな人が多い。ほとんどの人が多額の給料を稼ぎ、そしてほとんどの人が給料日までにはきっちり全額使い切ってしまう。金銭感覚がズレている上、パチンコに行くのが週間になっている人が多いので、こういった現象は珍しくない。中には、半月と経たないうちに全額使い切ってしまう人もいる。

 

 

 

当然、お金がないと生活ができない。どうするかというと、他人に借りるわけだ。別に他人にお金を借りることを完全悪だというつもりはない。しかし、彼らが誰からお金を借りるかというと、仲の良い友人ではない。パチンコ屋の中では数少ない、お金を沢山貯めている人から借りるのだ。

 

 

これは本当の話で、最初に働いていた店には総額で30万円以上のお金を貸している人がいた。そして、その人はどちらかと言えば店の中では控えめなポジションであり温厚なタイプの人であった。そして、特別仲の良い仕事仲間とも思えない複数の人に多額のお金を貸していたのだ。

 

 

 

おそらく断りきれないタイプだったのだろう。一度お金を貸してしまうと弱みにつけ込んでくる人が必ず現れるのだ。正直かなり哀れに思うが、それは自分で断ち切ってほしいと思う。とは言え、パチンコ屋においては、「お金を持っているくせに貸さないなんておかしい」というねじ曲がった常識的観念が存在するため断るのが難しいのも事実だ。これはこれで結構怖い。うっかり「私貯金しています」なんてことを簡単に言ってしまうと、次から次へと人が寄ってくることにもなりかねない。一緒に働いていた人達は好きだけど、そういったお金に対する面についてはいまだに軽蔑している。

 

 

 

過去に、パチンコに行き過ぎて家賃を何ヶ月も払えず、アパートを追い出されそうになった人がいた。彼の周りの人の何人かがかなりの額を貸していたようで、彼の友人の一人から、私からもいくらか貸してほしいと頼まれたことがある。もちろん、私は人にお金を貸さないわけではない。念のため、いくらぐらい貸せばいいか聞いたところ、5万と言われた。

 

 

 

考えてみて欲しい。みんなは、はいじゃあ5万貸します、と言えるだろうか。確かにその人にはお世話になったし、かなり仲良くしてもらったこともある。それでもだ。それほどお金にルーズな人に対して5万を貸す勇気があるだろうか。私にはない。当然、却下した。

 

 

すると、どうだろう。私はその彼の友人に軽く逆ギレをされてしまったのだ。なんで貸してくれないの?と。どうだろう。ちなみに家賃滞納した本人もその友人も私より年上だ。この瞬間ばかりは、コイツらやっぱり頭おかしいなと思った。普段はいい人だから許しちゃうんだけど。

 

 

一方で、お金を貸したこともある。2万円が過去最大の額だ。残念ながらその2万円はいまだに返ってきていない。他の友人からは絶対に返してもらった方がいいと言われるが、私は取り立てる気はない。何度か返すように言ったこともあるけど、もう住んでる場所も遠いし、別にたかが2万くらいもういいかと思っている。

 

 

確かに金を返さないという行為は世間一般では許されない行為かもしれない。しかし、貸した自分にも責任はあるし、というか私は金を貸すとき、自分の中ではあげるつもりで貸している。だから無くなってもいい額しか貸さないし、あげてしまってもいいような関係の人にしか渡さない。相手が借りていることを覚えているなら、もうその人からお金を貸してと言われることはなくなる。また貸してと言われたら、その時は一銭も貸さなければ済む話だ。

 

 

お金の貸し借り等の金銭トラブルは一般的に人間関係を破綻させると言われる。しかし、私は今でもその友人と仲の良い関係のままである。これは他でもない私が許してしまっているからである。普通、お金を返してもらえなかった人は、お金を借りた人を少なからず恨むことになるため、友人でなくなるのだ。そこを許すことができれば金銭トラブルではない。確かにお金は取られたし、それは許されて良い行為ではないのだが、今の私にはお金に執着心がないためかあんまり腹が立たない。お金なんてこの先いくらでも増やせるし、とか呑気に考えている。

 

 

 

たぶん私だけではないと思う。昔の職場仲間で集まったときにみんな普通に仲良くしているんだけど、実は誰々が誰々にまだお金を返していない、なんて問題は当たり前に残っている。でも、そのことでいちいち人を恨んだりしている人はいないように思う。お金を借りることに対する感覚がおかしい分、お金を返してもらうことに対する感覚もおかしいのだ。お金を貸さない人に対しては厳しい分、お金を返さない人に対しては寛容だったりする(というか貸したことを忘れている人が多い笑)。結果的にプラマイ0と言えるのではないか。普通に考えればありえない状況だと思うが、私もちょっとそういう頭のおかしい部分に洗脳されてるため、これはこれでいいのかなーなんて思う。

 

 

 

こういった経験を経て感じるのは、「お金を返さないから」という理由だけで相手を全面的に嫌う必要は必ずしもないんじゃないか、ということである。人間には必ず良い面と悪い面があるのだから、お金を返さないのが悪い面だとしても、他の良い部分に目を向ければ、情状酌量の余地はあるはず。私のその友人も、パチンコで勝った時にはよくおごってくれたし、飲み会の時はいつも迎えに来てくれたし、私が酔っ払ってブッ倒れたときは家まで運んでくれたこともある。

 

 

 

もちろん、金を返さない人間を無理に許してやる必要はない。倫理的にそれは間違っていることだからだ。また、許す自信がないならはじめから中途半端な優しさで金を貸してはいけない。どんな人間であれ、絶対に返ってくる保証はないのだ。返ってこなくてもいいと覚悟を決めた相手にだけ貸そう。ただ貸した結果、もしあなたの友人がお金を返さないとしても、それだけで嫌いになる必要もない。貸した金を手切れ金として考えることも可能だが、まだ友人関係を続けたいなら許してやればいいのだ。忘れた頃に返してくれる可能性も0ではない。