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倫理観を揺るがすビジネス① ~Webテスト代行~

少し前にイケダハヤト氏のブログで東大生によるウェブテストの代行サービスが紹介されていました。名前の通り、就職活動等で足切りに利用される「Webテスト」を、勉学のスペシャリスト達が代わりに受けてくれる、というものです。多くの人は、こんなのありえない、許されるべきではない。そう感じることだと思います。

 

私は、純粋に面白いなーと思いました。もちろん、立場としては反対です。正直なところ、私自身この手のビジネスを(能力的には)立ち上げることができますが、やろうとは思いません。事実として、このサービスを提供できる能力を持った人はごまんといるはずです。でも99%の人はビジネスにしようとは思わないでしょう。許されるべきではないビジネス、という認識が拭いきれないからです。

 

とは言え、ホームページが廃止されていないことからも、法的に問題があるわけではなさそうです。やはり論点としては、モラルとしてどうなのか、というところでしょうね。でもよく考えてください。本当にモラルとして問題があると断言できますか?

 

このビジネスの主要な批判意見をピックアップすると二つです。手法が狡いこと。そして、そのサービスを利用する人のためにならないこと。

 

Webテストは本来、企業が学生の学力を測るために実施されるものです。なので、就活に挑む学生自身がそのテストを解く必要があります。にも関わらず、別の第三者が解いてしまうのは狡い行為です。そして、狡い行為をすることで本人の成長が阻害されます。

 

でも、こんなものは理想論ですよ。真面目な奴ほど損をする社会なことは多くの人が承知しているはずです。就活のWebテストを自分の力だけで解く人間なんてほとんどいません。大学生の中には、「どれだけ人に頼れるか」を測るテストだと都合の言い解釈をしている人もいるくらいです。事実として、必要なリソースを自分の力で集めてくる能力はビジネスの場では求めれます。

 

私は全てのWebテストを自分一人で解きましたが、それは私が真面目な人間だからではありません。たまたま、私の周囲に自分より100%賢いと思える友人がいなかったこと、そして、自分の力だけでWebテストを乗り切れる自信があったからそうしただけです。もし、私にそのような能力がなければ、大多数と同じように狡い手を使っていたと思います。

 

このような社会で誰が損をするのか、というと、能力もなく、ずるさえもできない人です。彼らこそ本当の弱者ですよ。ずるしない方が人間的に尊いなんて綺麗事でしかありません。だって、能力はないけど、ずるをしている人の方が、評価されるし、多くの機会が与えられるのですから。それが一時的なものだとしても、です。

 

今のように腐りきった社会では、一時的に狡い手段を報酬を対価に与えてやる方がその人のためになる可能性も十分にあります。だからこそ、ビジネスとして成り立っているし、利用する人がいる。そして究極的に、その人のためになるかどうかなんて、第三者にわかるはずがないのです。モラルは大切ですが、現状を認識しないままに理想像を弱者に押し付けるのは間違っているんじゃないですか。

 

次は今話題のレンタルフレンドについて考えてみます。