∑考=人

そして今日も考える。

幸福を最大化する

幸福の最大化は学問的にも考えられている分野です。大学の授業で聞いた記憶では確か、人生全体における幸福量の総和を最大化する人生こそがもっとも幸福な人生だと定義されていました。

 

幸福量は数値化できませんが、わかりやすい二つの例を考えてみましょう。例えば、20歳までの人生は恋愛にスポーツなど、青春を謳歌し、毎年10の幸福を感じてきた人をAさんとします。しかしながら、Aさんは勉強を疎かにしてきたため、ブラック企業で働くことになり、20歳以降は何一つ幸せなことなどない人生を送るハメになりました。そして、Aさんは定年退職と同時に病気によって亡くなったとします。すると、Aさんの幸福の総量は、10×20年=200となります。

 

一方で、20歳までの学生時代、将来を見据えてひたすら勉学に明け暮れ、恋愛もスポーツも遊びも何一つせず、灰色の学生生活を送った人をBさんとします。20歳までの幸福量は0です。しかし、20歳以降には長年の勉学が実り、一流企業に就職することができ、理想の結婚相手と出会い、幸せな家庭を持つことができ、毎年10の幸福を感じることができたとします。Bさんは定年退職まで幸せに暮らし、定年退職と同時に亡くなりました。すると、Bさんの幸福の総量は10×40年(働いてから退職するまで)=400となります。

 

こうして比べると、Bさんの方がAさんよりも幸せな人生だったと評価することができます。この場合、私たちが目指すべきはAさんのような人生ではなく、Bさんのような人生になるわけです。特に将来のためにコツコツ頑張ったり貯金をしたりするタイプの人はこんなスタンスではないでしょうか。

 

ただ結論から言えば、ここでBさんのような人生を目指すのは明らかな間違いです。なぜなら、今生きている私たちには何歳まで生きられるかがわからないからです。例えば、AさんもBさんも20歳で亡くなってしまったとすれば、Aさんの方がBさんよりも幸せであるどころか、Bさんに至っては何一つ良いことのなかった人生になってしまいます。

 

では、Aさんのように全力で今を生きる生き方がベストなのかというと、それもやはり違います。確かに、後先ばかりを考えて生きる人生ほどつまらない人生はないとは思います。そのため、私もどちらかと言えば今に重きを置いていますが、だからと言って後先を何も考えていないわけではないのです。

 

人間は実に多種多様で、私の友人には1週間先のことも想定せずに生きている人間もいれば、3年以上も先のことを想定して生きている人間もいます。私は少なくとも半年先ぐらいまでは軽い見通しは立てるし、かと言って3年以上も先のことまでは考えません。

 

私は今が楽しければいいとよく公言していますが、私の考える「今」とは少なくとも、今生きているこの瞬間だけを指しているわけではありません。例えば2時間後に自分が死ぬことがわかっていれば、今のようにブログを書いたりはしないかもしれません。

 

受け売りの言葉を借りるならば、ミクロとマクロのバランスが大事ということになるでしょう。結局のところ、今を楽しく生きるのか、将来が良くなるように努めるのはトレードオフになってしまうことが多いため、バランス良く考えなければならないのです。

 

今の楽しさを優先しすぎると、将来的に取り返しのつかない失敗を招くことにもなりえます。だからといって、将来を優先的に考え今を犠牲にしたからといって、思い通りの将来が来るとは限らないのです。未来をひたすら信じて努力をすることは大切ですが、その期待が裏切られたときに悔いが残るかもしれないと思うのであれば、少し今の楽しみにも重きを置いてみる方がよほど幸せな人生が送れるでしょう。

 

やはり究極の形は、今を楽しんでいただけなのに将来にも繋がっていたという状態です。例えば、スポーツ選手とかアーティストとかがそうだと思います。この場合は今と将来がトレードオフではありません。この場合は、ただ今を楽しむことが結果的に将来に繋がる努力でもあるからです。だからこそ、このように好きなことをして稼いでいる成功者は大衆から羨ましがられます。

 

でも少し知恵を使えば、他の娯楽でもこのようなことは可能だと思います。今ではプロゲーマーとして生計を立てている人もいますし。例えば、DVD鑑賞が大好きな人は、DVD鑑賞をすることでどんな能力が備わるのか、とかその能力をお金に還元するにはどうすればいいのか、ということを考えればいいのです。これは結果的に将来につながる努力になりえます。

 

もちろん、これは机上の空論であり、ただ楽しいことをひたすらやっていたら、将来が保障されるというわけではありません。ですが、どうせ何をやったとしても将来は保障されないのだから、確率的思考と自分の気持ちを総合的に判断して、今の行動を選択してみるべきではないでしょうか。