∑考=人 〜プロメテウス〜

そして今日も考える。

「具体的に」を具体的に

就活に乗り出した後輩の一人が、凄く意識が高くなっている件について笑。彼は「インターンの面接で自分を落とした面接官をいつか後悔させてやる」、とか豪語してました。将来は絶対ビッグになるらしいです。

 

とは言え、就活シーズンは、大抵の学生の意識が高くなるでしょう。社会で活躍する生き生きした社会人と触れ合う機会が増えるだけではなく、そんな社会人が自分たちの可能性へ大きな期待をかけてくれるのですから。なんか自分にも凄いことができるんじゃないか、そういった気持ちにもなるでしょう。初めて自己啓発書を読んだときのような感覚です。

 

でも、その気持ちは原動力にしかなりえないんですね。マインドはあらゆる行動において1番と言えるほど重要なものですが、本質的すぎるが故に、マインドだけで何かを成し遂げることはできないのです。マインドを消費してでも、具体的なスキルや経験に変えていかないと意味がないんです。ちなみに、人材コンサルタントの常見さんが、純粋に意識が高い人と分けて、口先だけで行動が伴わなっていない人を「意識高い系(笑)」と命名しています。

 

私の後輩を見ていると、まさに「意識高い系(笑)」の典型例だなと感じます。大きなところばかり見すぎて、具体的な行動は何一つ伴っていないタイプです。本人的には行動しているつもり、というのが1番の問題です。まぁそんな人数え切れないぐらいいっぱいいますけどね。

 

彼はビッグになるどころか就活も危ういと周囲から心配されています。少なからず周囲の願望が含まれているとは思いますが、私も心配しています(願望もあります笑)。具体化するプロセスができないので、成長の微分値がほとんど0だからです。研究が同じグループなのでよくわかります。

 

具体的にすることが大切というのは、みんなも彼も知識としては知っていると思います。しかし、名言が一人歩きしてしまい、「具体的に考えることが大切だ」という認識で思考停止してしまっている人があまりにも多いのが昨今の問題ではないかと私は考えています。

 

具体的にすることがどういうことなのか、数学の問題を例に考えてみましょう。例えば「16の2乗はいくつですか?」という問題があったとします。自慢でも何でもなく、私は即答でこれが「256」だと答えることができます。すでに知識として定着しているからでもありますが、本質的にはその答えの導き方を知っているからです。

 

でも、これを瞬時に、あるいは一生解けない、と思う人もいるかもしれません。それはつまり、いきなり大きいことをしようとしている、ということを意味します。そのため、この問題をもう少し具体的にする作業が必要になります。

 

「16の2乗」を具体的に表すなら「16×16」となります。これをさらに具体的に表す方法は、例えば、「4×4×4×4」とか「2×8×2×8」など色々あるでしょう。最初に与えられた問題に比べれば幾分か具体的になったと言えます。

 

この時点で、「具体的になったからOK」と安易に考えてしまう人は、「具体的に考えることが大切だ」という認識のみで思考停止してしまっている人です。そして、こういうタイプの人は何かを成し遂げるのに苦労します。なぜなら、具体的になったからといって具体的だからとは限らないからです。

 

もう少し詳しく言うと、ある人にとっては具体的でも、あなたにとって具体的とは限らないからです。そして本当に大切なのは、あなたにとって理解できるほどに具体的なのか、ということなんです。「最初の問題に比べて」とか「客観的に見て」どれだけ具体的になったのかは全く関係なく、具体的なのかどうかは自分のモノサシでのみ決まるのです。

 

この問題をすぐに解ける私から見れば、「16の2乗」という表記の時点で十分に具体的なので、わざわざ細分化して考える必要もありません。しかし、まだ九九を覚えていない人にとっては「16の2乗が」少し具体的になって「4×4×4×4」になったとしても、全く具体的ではないのです。よってさらに具体的な「4+4+・・・・+4」という形にする必要があります。

 

当然、「16の2乗」から答えを出せる私と、「4+4+・・・・+4」というレベルまで具体的にしないと計算できない人を比べれば、答えを出すスピードは100倍以上違うでしょう。そうだとしてもその人にとっては、「4+4+・・・・+4」というレベルの計算式から進めていくやり方が1番速いのです。理解できない人が「16の2乗」のまま考えても何一つ進まないので、そのスピードの差は∞倍です。

 

「16の2乗」を瞬時に答えられる人を見て、自分にもできるはずだ、などと考えるのは傲慢です。難しい問題に対して瞬時に答えを出せる人は、必ず過去のある時点において、その時の自分にできる凄く小さな問題を解くというプロセスを何度も経ているだけなのです。同じ時間軸で考えるのはやめましょう。どんなに小さな作業に分解されることになっても、理解できるレベル、行動できるレベルにまで分解することが、今の自分にとっては最短ルートなのです。