プログラムを書く際には一般的に設計が大事だと言われます。設計こそが要であり、本質であり、良い設計ができていれば、あとは単純にプログラムを記述するだけで良いシステムができる、という考え方です。
これは文章についても同じで、まず話のストーリー、構成がしっかりとできていれば、あとは単純にその流れに沿って文章を書くだけで良い文章が仕上がります。そこまでは良しとしましょう。
ただ、私はプログラムを書くときも、文章を書くときも、ほとんど全体構成を意識しません。なぜかというと、書いてみなければわからないことが山ほどあるからです。今書いている修士論文にしても、1番初めにやったのは、何をやったか(What)、どんな風にやったか(How)をひたすら書いてみることでした。
そもそも私の場合は、構成を考える段階で、きちんとした実験結果が出ていなかったので(今もまだ出ていないが笑)、1番良いストーリーを考えることなどその時点ではできなかったのですが、実験結果や結論があったにせよ、とりあえず書いてみてから気づくことはたくさんあります。つまり、最初の段階で決める構成なんて仮決めでいいのです。
就活や自己PRなどの小論文も同じです。文章が短いほど、まず完璧な全体構成を考えようとしまいがちですが、初めはざっくりで良いのです。私はどんな人間か、何をやったのか、という個々のパーツを箇条書きにする。実際の記述を見ると、ずいぶんと構成はイメージしやすくなります。
そして、1番大切なのはリストラクチャリングすることです。会社をクビになることではありません。本来の意味の再構築です。つまり、書いてみた上で気づいたことを踏まえ、構成を考え直します。例えば、変えた方がいい部分はどこか、説明が足りないのはどこか、話の繋がりがないのはどこか、何を足せばスムーズになるのか、逆に何を削ればスムーズになるのか、といった点です。たくさんありすぎて全部書く事はできませんが、書いているうちにそういった気づきは増えていきます。
私もブログを書くとき、初めに決めているのは、何について書くのか、どんなことを書くのか、のに2点ぐらいです。あとは、書きながら考えるという高等テクを使います。実際には、まずキリの良いところで手を止め、読み直して考えます。そして、ここは具体例を使って説明した方がいいな、とか、この文は話の流れに逆らうから消そう、などなどのフィードバックを得るわけです。
必要であれば、文章を書き直しますし、そうでなくとも、最終的にどんな感じに締めるのか、というイメージは具体的になります。昔はそのまま投稿してましたが、最近はリストラクチャリングをすることも増えてきました。だからといって、いい文章になっているかどうかは私には決められないんですけどね。
普通、論文の書き方の雛形は概ね決まっているので、構成は割と考えやすいものです。しかし私の場合、大きく分けて2つの研究を取り入れようとしているため、先生方と一緒に考えても、なかなか苦労しました。とりあえず、書きながら考えるスタイルで、どんどん書けるところから書き足していきました。
文章があった方が先生方もイメージしやすいらしく、それなりに構成が出来上がってきた、というところです。そして、"書きながら"構成を考えていたので、気づけば一週間足らずで25枚ぐらいの原稿用紙が埋まっていました。最初に完璧な構成を捻り出そうとしていたら、構成の質はおろか、原稿用紙の量も現状には満たなかったでしょう。
とは言え、まだちゃんとした結果が出ていないわけで、結果によってはまた構成が変わってしまうかもしれません。でも、とりあえず書いたものは何かしらの形で使えることが多いですし、そうでなくとも、書くことで頭の中は整理されます。構成は確かに大事ですが、書いた上での再構成、リストラクチャリングこそが本当に重要なプロセスなのです。