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そして今日も考える。

ゆとり世代の疑問に対する回答

こんなエントリを見つけました。→「ゆとり世代」に気づいて欲しいこと ライフネットの岩瀬さんが書いてるのかな?ゆとり世代が社会に対して感じる「なぜ?」という疑問とそれに対する回答が述べられています。

 

まず、疑問点をそのまま引用。

  • 「会社にビーサンで通勤しちゃダメと言われた。なぜ?」
  • 「社内の飲み会でなんで先輩にお酌しなくちゃいけないの?」
  • 「私は事務職だから外部の人に会うことはない。なんで化粧しろって言われるの?」
  • 「大企業を選んだお前は安定志向だと言われるが、大企業が安定なんて思ってない。なんで上の世代はそう思うの?」
  • 「自分は目をみてハキハキ挨拶するが、なんでみなPC見ながらしか挨拶してくれないのか?」

こういった疑問を今のゆとり世代は持つらしいです。いや、私もゆとり世代ですが、こんなことはとっくの昔に疑問では無くなっています。しかし、こういった疑問に対し、論理的に回答するのは大人でも難しいんじゃないでしょうか。

 

これに対する岩瀬さんの回答は以下の3点にまとめられています。

  • 社会は機能性・合理性だけではなく、一定のプロトコール・規範のもとで動いていること
  • 自分とは違う世界観をもった人たちがたくさんいて、一つの正解があるわけではないこと
  • いい仕事をするため、自分のやりたいことを実現するためには、その共通言語に沿ったコミュニケーションが不可欠となること

どうですか。「なるほどそうだったのかー!」とはならないでしょうね。ちょっと小難しい言葉を使って実にオブラートに表現しています。なので、回答自体は正しいです。しかし、このような回答でゆとり世代が納得するはずもないのでしょう。なんたってゆとり世代ですからね。

 

例えば1点目を簡単に言うと、まさに「社会には暗黙のルールが存在するから」というものです。そして、そのルールは必ずしも論理的ではない、すなわち不合理で理不尽なものである、と言っているわけです。

 

次に2点目。「正解は一つではない」という表現は私もよく使います。が、「どちらも正しい」という結論が集団の中で出されることはありえません。ここで言われていることは要するに、どっちも正しいんだけど、社会ではこちら側の考えに分がある、相対的にこちら側の考え方の方が正しい、ということです。率直に言うと、あなたたち(ゆとり世代)の考え方が間違っていますよ、ということです。

 

最後の点も回りくどいですね。ここで、本当に言いたいのは共通言語を使ったコミュニケーションの必要性ではありません。要約すれば、やりたいことをするためにはやりたくないことや納得いかないことも我慢してやりなさいということです。

 

偉い人達は立場上ストレートな表現を中々使いにくいものがあります。そして、甘い環境で育ってきた私たちゆとり世代は、自分の頭で考える癖がついていない人が多く、本音を汲み取ることができません。だからなおさら理解できないのでしょう。

 

ただ、私たちはこういった暗黙の社会のルールを知らないわけではありません。会社にサンダルを履いていってはいけないことを知らないわけではなく、ただ納得がいかないのです。「なんでそんなルールになっているのか?」ということに対して納得できる理由がほしいわけです。

 

結論から言うと、大人たちの本音は「自分たちも我慢してやってきたのだからあなたたちも我慢するべきだ」という思考に基づいています。我慢の強要が伝統として下の世代に伝わっているのです。怖いですね。まぁ私たちが上の世代になったときにもその伝統が続いていれば逆に恩恵を受けられるわけですが。

 

つまり、社会のルールは論理的な理由など何一つなく、ただの感情論で決まっている、ということです。それらしい論理は全て後付けです。誰の感情論で決まるのか、というと、多数決の原理です。社会のルールなのですから、社会人の感情論が支配的になります。論理がハチャメチャであってもそれが社会においては正しいことなんです。だから、ゆとり世代の人は論理だけで自分を納得させようとするのはやめましょう。無意味です。

 

納得できないなら、別にこの支配的なルールに抗ってもいいんです。ただ、大抵の場合、自分が大損をするという結末を招きます。ほとんどの人にとっては、長いものに巻かれるという行動選択が1番合理的になるのです。ゆとり世代も失敗を経験すればわかるはずです。

 

ただ、支配的なルールに抗っても大損しない人もいます。それは、"強者"です。例えば、あなたがゆとり世代であっても、人並み外れた能力を持っていれば、ほとんどのわがままは通用します。社会と比べて優位な立場であるなら、サンダルで通勤してもネタとして笑われるぐらいでしょう。どこでアルバイトをしていても、必ずそういう好き放題やっている社員がいました。

 

ゆとり世代の考え方は論理的に間違ってはいません。しかし、自分の立場に応じて社会での生き残り戦略の取り方が変わってくるのです。郷に入れば郷に従った方がいい人もいるし、出る杭となって打たれた方がいい人もいる。ただ、ゆとり世代は(私も含めて)自分を過大評価する傾向が強いので、一度自分が強者か弱者か、良く考えてみるのもいいかもしれませんね。