∑考=人

そして今日も考える。

自己PRでボロを出さないために

今日は就活がらみの話。面接がコミュニケーションの場だというのなら、「5分間自己PR」なんてものは要らないんじゃないかと思う。一方通行の話、しかも、事前にきちんと準備した上での言葉を長々と並べ立てても、そこで何が見えてくるというのだろう。変に作り話っぽくもなってしまう。

 

面接の本には、「1分間」と「3分間」と「5分間」用の自己PRは別々に用意した方がいい、なんて書かれていたりするんだけど、私は1分間用しか用意しなかった。といっても、1分間になるように準備したわけではなく、必要最低限の自己PRを用意したらだいたい1分ぐらいに収まったというだけだ。会社によっては本当に5分、10分とひたすら話させるところもあるみたいだが、あんまり意図がよくわからない。私は最終的に、そういう会社に行きたいなら考えればよい、という結論に至った。

 

むしろ自己PRで本当に大事なのは、相手に自分をどれだけ引き出してもらえるかにかかっている。面接官が食いつきそうなキーワードを散りばめておくわけだ。自己PRの後には必ず質問がくる。その時に、何を質問されても答えられるようにしておくほうがよっぽどいい。そして、質問の回答の中に別のキーワードを散りばめる、といった流れを繰り返す。質問されなくなったらジ・エンドである。

 

近年は、経験だけを述べてそこに至ったロジックを説明しない学生が多い、という批判が絶えないのは事実であるが、これは何も最初に自己PRをする段階で、ロジックを詳しく述べなさいということではなく、質問された時に、その経験から学んだこと、なんでそんな経験をするに至ったのかちゃんと説明できるように考えておきなさい、ということなのだ。

 

自己PRを簡潔に考えていれば、飛んでくるであろう質問も多方予想がつく。逆に色んなことをしゃべりすぎれば、質問にまともに答えられなくなったりする。5分間の自己PRを考えてみるのは就活力という観点では向上するのかもしれないが、自分が準備したもの全てを最初に出す必要はないのだ。

 

あとは質問に応じて、自分という人間の思考特性、行動特性を小出ししていく。すると面接官にとっても、少しずつ相手のことがわかっていくような感覚を味わってもらえる。人間はある物事について上達していると感じると、その物事を好きになるし、もっと上達したいと思う生き物だ。面接も同じで、こちらが対話レベルをデザインしてやることでコミュニケーションは有意義なものになる。

 

そして、行動特性や思考特性を答えるときにボロを出さないために、今までの人生に一貫性を持たせる、という作業が極めて大事である。どんな人でも色んな紆余曲折があり、様々な人生選択をしてきたはずだ。そして、それらの行動選択には必ず理由がある。本当の理由はノリとか空気とかなんとなく、ということがほとんどだろうが、そこで、意識が高い理由を捻出する(でっち上げる)。

 

例えば、私は今の大学院にきた理由に、まともな理由はほとんどない。強いて言えば、大学と同じ大学院には行きたくなかったこと、そして、入試の結果発表が早かった、というぐらいだ。でもここを私は、友人とノリで取った情報系の資格に影響されたことにし、さらに第二志望である医学系の研究室に進んだ理由として、幼い頃に父を無くしたことを挙げた。

 

行動の原因に興味があったからです、だと弱い。なぜそういうことに興味をもったのか?が大切だからだ。そして、興味の原因を説明する際には、きっかけとなった経験や事実を述べる必要がある。私のように、自分の置かれた境遇を引き合いに出すのも非常に効果的である。こうやって一つ一つの関係なさそうな経験をロジックで無理やりつないでいけば、PRの機会も増えるし、面接官が自分という人間を、より具体的にイメージできるようになっていくんじゃないか、と思う。

 

志望動機を述べるのが大の苦手だった私なりの自己PR指南書でした。