∑考=人

そして今日も考える。

パソコン版Kindleを利用して気づいたこと

少しずつですが、Kindle電子書籍を購入する機会が増えてきました。どちらかといえば紙の本の方が好きな私ですが、これからはますます電子書籍として購入する機会が増えると思います。電子書籍の利点が見えてきた、というよりも紙の本のデメリットが見えてきたからです。

 

東京へ引越しするため、今できる限り所有物を減らそうと努力しています。すると当然のごとくぶち当たるのが本の処理です。本棚から溢れ出している本を全て持っていくのもなんだが馬鹿げているので、この際9割ぐらいは売ってしまうつもりです。既に半分以上手放しています。

 

以前も大量に本を売ったことがあるのですが、やはり「捨てる」という行為は苦痛を伴うものです。一度読んだ本は滅多に読み直さないし、場所も取るし、ということで泣く泣く捨てることに決めましたが、本当ならば全て残しておきたいんですね。本の中の情報をインプットすることは読書の1番の目的とは言え、買った本全てを残しておけば、自分の思考の紆余曲折を振り返ることができて面白いものなんです。

 

しかし、紙の本は質量や体積を持っているため、どうしても蓄積には限界があります。処分しなければならない時もあるでしょう。これらを処分するかどうかを選別する時間や、本を処分するための時間、そして、本を捨てる苦しみは電子書籍であれば発生することのなかったデメリットなんですね。知ってはいたけど、理解できていなかったということでしょう。

 

と、前置きが長くなってしまいましたが、Kindleを実はパソコンでも見ることができるんですね。LINEがパソコンで使えるぐらいだから、と思っていたら、案の定ありました。Kindle for PCというアプリケーションをインストールすればOK、と言いたいところですが、これが厄介なことに日本版のKindleには対応してないんです。アカウントとパスワード何回入力しても受け付けてくれません。要するに使えません。

 

でも、別の方法がありました。→アマゾンの電子書籍、kindleをパソコンで読む | うらかんじ.com パソコンでAndroid環境を動かすエミュレータを利用しているらしいです。なるほど、そうきたか!って感じです。このエントリに書いてある画面は現れませんでしたが、なんとか正常にパソコンでKindleを起動させることができました。

 

私がパソコンでKindleを使いたいと思ったのはスマホだと画面が小さいからです。たとえ今後電子書籍リーダーを買ったとしても、家にいる時なんかはパソコンの方が画面が大きいのできっと読みやすいだろう、ってことで。でも、結論から言うと読みづらいと感じました。

 

実を言うと、スマホ電子書籍を読んでいる時も、一種の読みにくさを感じます。しかし、その読みにくさの原因が何なのか、については文字が小さいこと以外に検討がついていなかったんです。でもパソコンで電子書籍を読むことで、その原因が何となくわかりました。ズバリ、レイアウトの違いです。

 

今では、読書を日常的にしない人でも、パソコンやスマホなどのデバイスを介して文章を読む機会は格段に増えたのではないかと思います。ツイッターフェイスブックの閲覧も情報の質はともかく、そこに出力されている文字を読むという意味では読書と全く同じ行為です。で、そのレイアウトってどうなっているでしょう。ほぼ全ての情報が、上から下へと横書きテキストが流れています。Webページもメールもブログもそうです。デバイスで何かを読むとき、私たちはほぼ条件反射的に目線を上から下へと送ります。

 

一方、紙の書籍はというと、ほとんどのものが右から左縦書きテキストで書かれています。紙の書籍を読むときは右から左へと流れることを無意識に理解しているため、何の違和感も感じないのですが、電子書籍になった途端、この流れが不自然に感じるのです。普段の習慣の中で、スクリーンで文章を読む=上から下へと読む、という潜在的な認識が植えつけられているのでしょう。

 

逆に考えると、紙の書籍を電子書籍化するときに、レイアウトを横書きテキストに変更した方がユーザーインターフェースの観点では良いのではないか、という気がします。実際、電子書籍の中には縦書きレイアウトを導入しているものもあり、これらに関しては個人的に読みやすいと感じました。

 

レイアウトを縦書きにするだけでも、「紙の書籍の延長としての電子書籍」ではなく、「ブログやニュースサイトの延長としての電子書籍」という印象を与えることができるはずです。そしてその方が、Webページの読み方に慣れている現代人にとっては、気軽な感覚で読書をすることができるようになるのではないでしょうか。それによって、「紙の本は読まないけど電子書籍は読む」ユーザー創造することができるかもしれません。

 

よくよく考えてみると、紙の書籍のほとんどが縦書きテキストであるのは文化的な背景以外に主要な要因はないように思えます。もちろん、伝統もそれなりに大切でしょうから、紙の書籍のレイアウトを一新する必要はありません。しかし、新たに生まれたでん書籍については、読み物として最も大切な「読みやすさ」を向上させるためにも、伝統文化を捨てる、というのは考慮に値するのではないでしょうか。