∑考=人

そして今日も考える。

バイクを売って思ったこと

バイクを売りました。まぁ色々考えて、考えるまでもないな、と思い売ることにしました。中古で購入し、6年間私の足としてこき使ってきた割には、MacBookと相殺するぐらいの値段がついたので、満足しています。

 

引っ越しと同様、カカクドットコムで、複数の業者に査定をお願いしましたが、どこもほとんど売却まで手順は同じようです。依頼すると、即効で色んな会社から電話がかかってくる。そして、査定日のアポを取り付けようとします。ちなみに、この時に、今すぐに手放す気はないと伝えておくと、後々の価格交渉で有利になります(と私は勝手に思っています笑)。

 

そして、営業担当の人が査定に来ます。そして、当然査定をするわけですが、基本的に、営業担当の人は買い取り価格の決定権を持っていません。そのため、営業担当が査定結果やバイクの画像等を会社に送信し、会社がそのデータを元に価格を決定し、営業担当に伝え、そしてさらに営業担当が私に価格を使える、というプロセスです。来てもらった3社ともが同一の手順でした。日本の会社、という感じがしますね。

 

そのため、価格交渉が非常にややこしくなります。例えば、査定価格が10万円と会社側に決められたとして、私が13万円がいいな、と希望を伝えます。すると、営業担当の人が再びその金額を元に会社に交渉を持ち込むわけです。一見すると、「私」と「営業担当&会社」の価格交渉のみの構図にも思えますが、実は「営業担当」と「会社」の間で価格交渉のバトルが繰り広げられます(どちらかと言うとこちらが重要)。

 

当然ながら、会社側が決定権を持っています。また、客の要求が無茶苦茶な金額ならば買わない方が会社にとっては良いため、買わないという選択を躊躇なくすることができます。一方で、営業担当はというと、客の要望がどんなに無茶な金額であっても、断りたくはありません。これは聞いた話ですが、営業担当の評価は、「買い取った金額」ではなく、「買い取れたか買い取れなかったか」で図られる事になります。つまり、どんなに高額であっても買い取ってほしい、と営業担当は考えるのです。

 

しかしながら、高額すぎると、会社の権限で買い取りを断られてしまいます。なので、営業担当の方が、客の要求価格に少しでも近づけるために会社と価格交渉を始めることになります。真面目な顔で大ウソを付いている営業担当さんの話は正直聞いていて笑えました。

 

私は最初の2社の査定ではほとんど価格交渉をしませんでした。適正な市場価格を見極めたかったからです。その結果10万〜11万程度の金額になることがわかりました。た。ちなみに、バイクの場合、どこの買い取り会社も同じオークションにかけるらしく、市場価格に大きな差はないのだそうです。

 

3社目には予め、希望は18万円で他社さんは15万円ぐらいだった、と提示しておきました。初めにそう提示しておくことで、妥協点として13万円ぐらいに持って行きたかったからです。(ちなみにアンカリングという交渉術の基本テクニックです。)

 

すると、その営業担当は会社に対してさらにアンカリングしました。他社さんの査定金額が18万円だと言い出したのです。それはやりすぎじゃないかと思いましたが、結局最初の金額で12万の価格をつけてもらうことができ、あと2回ぐらいのやりとり、希望の13万は達成することができたので、売却を決定しました。(たぶん、これよりも前の段階で、私の15万円が大嘘であることは見抜かれていたと思います。)

 

かなり話が逸れてしまいましたが、会社の利害と営業担当の利害が一致していないのは、システムとして良くないのでは、と思ったわけです。それだけでなく、営業担当が必死になって会社と価格交渉をしてくれるのはありがたいですが、会社にとっても営業担当にとっても、そして、顧客にとっても、時間の無駄です。

 

例えば、評価項目を具体化することで、査定をマニュアル化してしまう、ということが上げられるでしょう。見たところ、あまり細かいチェック項目は用意されておらず、査定人がコメントを書き込んでいく、という感じのチェック資料の構成でした。日本の風潮的に、現場社員に権限を与えるのは難しいと思われるので、逆に、誰にでも簡単に正しい評価が行えるように具体的な評価項目を作るのです。

 

また、どうせ営業成績によるインセンティブを導入しているのであれば、その適正価格からいかに安い価格で買い取ることができたのか、を評価するシステムを採用するべきです。今のシステムでは、結局、お客さんに買ってもらった方が営業担当にとっては嬉しいので、会社との価格交渉でいかにお客さんの要望に近づけるかが、営業担当の課題と定義されてしまいます。すると、会社としては、適正価格よりも高めに買い取ってしまうことになるので、全体としては損失を招いているのではないでしょうか。

 

もちろん、これは木を見て森を見ず、の発想なのかもしれません。敢えて高めに買い取ることで継続的に顧客と取引をしてもらえることを想定している可能性もあります。しかしながら、一人の顧客がバイクなどの大型商品を売る機会は多くても年に一回くらいでしょう。ならば、利益を考えた時に、いかに高く買取ることができるのか、というポイントを重視したほうがよいのではないでしょうか。