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∑考=人

そして今日も考える。

ネット広告はなんか惜しい

最近、ネットサーフィンをしていると、あらゆるサイトでマウンテンブーツの広告が表れます。というのも、少し前までどのマウンテンブーツを買おうかと、色々探していたからです。最近の広告はほとんどが、消費者のネット閲覧履歴に応じてカスタマイズされたものが出てくるようになっています。これはこれですごいことなんでしょうね。

 

しかし残念なことに、この広告は私にとって全く効果的ではありません。なぜならば、私はすでにマウンテンブーツを購入したからです。よほどのファッションオタクでもない限り、ブーツを買った直後に同じようなブーツを買う、という行動選択をとることはないでしょう。

 

今の広告を見ていると、こういった「なんか惜しい点」がたくさんあります。ここで挙げた広告の惜しい点は、人間の消費意欲をスタティックなものとして取り扱ってしまっていることです。一度マウンテンブーツを探していたからと言って、半永久的にマウンテンブーツを欲しがっているわけではありません。

 

私は基本的にネットで探したらその間に購入まで決定する事が多いので、すでに購入した商品の類似品を広告に薦められることが多々あります。さらに言えば、その広告に貼りだされている商品そのものを購入していたということもあります。一度購入した商品をまた薦めるというのはなんとも無駄な広告です。

 

一番のネックは、「まだ購入していないのか」「すでに購入したのか」という観点での分析がなされていないことです。一度購入すれば、それと同類の商品にたいする購買意欲は下がります。焼き肉を食べたすぐ後に焼き肉を食べたいとは思わないでしょう。こういった当たり前の気持ちの変化を考慮できていない点は広告の惜しいポイントです。

 

 

少し前に話題になっていたこのツイートは言い得て妙ですよね。Amazon楽天では、顧客の興味関心の範囲の絞り込み方が異なることがよくわかります。楽天では机を購入した人=机に興味がある人と定義してしまうようですが、Amazonでは、もう少し枠組みを広げて、机周辺の家具に興味がある人と定義しています。このことによって、椅子という選択肢を提示することができるのです。(実際に椅子を薦めてくれるのかは知りませんが。)

 

そして、枠組みを広く捉えることによって、人間の心情変化を類推することができている、ということも言えると思います。机を買った後には机を買いたいを思う人は珍しいですもんね。人間の気持ちの変化を取り入れたレコメンデーションは効果的です。

 

とは言え、アマゾンのレコメンデーションにも限界はあります。それは人間の多様性を考慮できないことです。例えば、リーダーシップの本を読んだ人にマネジメントの本を薦める、ということはできるかもしれませんが、リーダーシップの本を読んだ人に、料理の本を薦めるということはまずありえません。

 

人間は時に全く関連のない2つ以上の分野に興味関心を持つ生き物です。今のアマゾンのアルゴリズムでは、1つの確固たる分野を軸にその周辺のものをオススメしていく、ということは可能ですが、1つの確固たる分野周辺にはないものを薦めることはできません。

 

これは、過去の自分全て、あるいは直近の一年間の行動特性を類推の材料にしてしまっているためです。データは多ければ多いほど精度が上がりそうなものですが、全てミクロな情報によって解析されていると感じます。これをもう少しマクロで捉えることで別の行動特性も見えてくるんじゃないかと思ったりもします。

 

 例えば、3年前のある時期にこういうものをよく買っていた人は、今こういうものを買っています、みたいな因果関係もあると思うんです。例えば、高校受験で問題集をよく購入していた人は、3年後に大学受験に備えて、次は大学受験用の問題集を欲しがるだろうな、的な予測もできます。4年前に家電を買っていた人はその4年後にまた家電を買う傾向がある、なぜなら大学が4年間で引っ越しの時期だからだ、みたいな分析結果が得られるかもしれません。

 

これらは私の勝手な憶測ですが、実際に調べてみたらそういう傾向が見られる可能性はありますよね。なら、直近一年の消費行動とか、今までの消費全てに基づく予測ではなく、断片的(巨視的)に捉えたデータからの類推結果も、潜在的な消費意欲を掻き立てるという意味では効果的だと思います。何より、そういう長期的なスパンでの気持ちの変化というものこそ自分では認知しにくいので、ITの力を活用するべきではないでしょうか。意外性のあるものを薦めてもらった方が個人的には楽しめると思うんですが。