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そして今日も考える。

希望駆動型と危機感駆動型

アメリカ人は希望駆動型。日本人は危機感駆動型。そんな風に区別される事が多いです。希望駆動型とは、こういうことをしたらこんないいことがある!→だからこうしよう!という考え方。対する危機感駆動型は、こうしないとこんな悪いことがある!→だからこうしよう!という考え方をするタイプということです。

 

どうでしょうね。例えば、自分が何か行動を変える場合には必ず動機があります。自覚の上では「なんとなく」ぐらいにしか思っていはいなくとも、自分の行動を改める場合には必ず理由があるものです。過去の自分を振り返って、自分がどっちのタイプか考えてみると面白いかもしれません。

 

例えば、働くという選択をするにしてもそうです。働くとお金も貰えるし楽しいかもしれない、と考えて働いた人は希望駆動型ということになります。働かないと生きていけない、というモチベーションで働いた人は間違いなく危機感駆動型です。

 

ここで、希望駆動型の方が危機感駆動型よりも良い、などとは言う気はありません。強いて言えば、自分がどちらのタイプなのかを理解しておくことが重要です。冒頭の区分は一般論でしかありませんし、選択の種類や自分の置かれている状況によっても変わるからです。

 

危機感駆動型は危機を感じない限り行動しません。行動しない限り人間は変われません。なので、危機感駆動型は一度安定を得てしまうと、退屈な人間になってしまう傾向があります。

 

しかし、退屈に対する危機感を持っている人はたくさんいらっしゃると思います。私もよく退屈である状態に危機感を覚えます。しかしながら、現状を変えるときにも危機意識が働くため、結局大胆な行動には制限がかかってしまうのです。ローリスクな行動はローなリターンしか返ってこない、すなわちほとんど変化しないのです。

 

よって危機感駆動型の人が行動を起こすためには、自分で危機を作り出すしかないわけです。とは言え、危機を作り出すためには自分にとっての危機が何なのか?を把握している必要がありますし、その危機を作り出すことに対する危機意識も働きます。

 

結局、堂々巡りに陥ってしまい、打開することはできません。というわけで、最も良いのは、現状に対しての危機意識を増幅させることです。

 

1つの例が可視化です。例えば、健康診断の結果が悪ければ、ヤバいと思うはずです。メタボリック症候群と指摘された人は、ランニングを始めるかもしれません。あるいは、毎月の家計簿をつけることによって、自分がいかにお金を使っていたかを知り、節約に勤しむかもしれません。現状の問題点を具体的に知ることで危機感がリアルになるのです。

 

他の例としては想起です。現状の延長線にある姿を想像させるのです。詐欺師が変なツボを高額で売りつけたりできるのも、現状の不安感を煽り、危機感を誘発するからです。詐欺師は騙しのプロであると同時に行動させるプロです。詐欺のテクニックを駆使すれば自分自身をも動かすことができるかもしれません(たぶん無理だと思います)。

 

想起は希望駆動型にも有効です。映画や小説などの作品が人の行動を変えたりすることもありますし、企業へのプレゼンではストーリーを語れ、などと言われるように、具体的な想像を与えることにより行動が起きやすくなるのです。ダメな主人公が最終的にハッピーエンドになる、なんて物語に出会うと、単純な私たちはついつい主人公に自分を重ねてしまいがちです。

 

このように、私たちの行動は思考の癖の影響を受けています。日本人はついつい危機意識を優先させてしまいがちですが、行動を試みるときはまずメリットから考えてみる。そして、現状のデメリットを考えてみる。そうやって今の認識と未来の認識を少し変えてみることで、行動にも変化が出るかもしれません。