∑考=人

そして今日も考える。

ポケットに手を突っ込むことに対する疑問あれこれ

研修中、人事部長から招集がかかり、新入社員全員が集まることがあった。学生気分が抜けていない、もう一度態度を改めなさい、ということであった。その中で具体例として上がったのが、「ポケットに手を突っ込むな」という主張であった。

 

私はこの、ポケットに手を突っ込むなという主張に疑問を持っている。常識的にもちろん、ポケットに手を突っ込むのはいけないという認識があることは理解した上で、それでもなぜポケットに手を突っ込んではいけないのかは理解し難い。

 

一番多く語られる理由は、転んだときに怪我をするから、というものだ。本当に意味がわからない。そもそも大人の体に成長してから派手に転ぶことは滅多にないし、転んだとしても自己責任だ。他人がとやかく言うことではない。

 

もちろん、これは言葉の綾に過ぎず、真実の理由とは異なる。実際のところ、ポケットに手を突っ込んだ姿は体裁が良くないのだ。マナー、礼儀として相手に失礼だからするべきではないのだ。一般的には。

 

ただ、私としてはポケットに手を突っ込んでいることの何が失礼なのかわからない。少なくとも、私はポケットに手を突っ込んで歩いている人を見たところで、不快感を覚えることはない。他人がどうこうしようが私には何の関係もないし、他人には自由に振る舞う権利がある。むしろそんなことに怒りを覚える人間はどんだけ心が狭い人間なんだよ、と思う。

 

結局のところ、調子に乗っている奴はなんか気に入らない、というガキ大将的な発想ではないのか。そんなものがマナーとして語られている現状は本当に意味がわからない。

 

最も意味がわからないのは、ポケットに手を突っ込んでいるのがカッコつけてる行為だと思われていることだ。いやいや、全然カッコ良くないはずだ。せいぜい中学生までの発想だろう。

 

しかし、共通認識としてポケットに手を突っ込むのはなぜかカッコいい行為だと思われている。これは紛れもない事実だ。いやいや、私はそんな風に思っていない、という人もいるかもしれない。でも、それならば、ポケットに手を突っ込む行為に対して、けしからん、なんて思わないはずなのだ。

 

考えてみて欲しい。例えば、会社の行事で休みの日にBBQをすることになったとしよう。その時、もし全身ジッパーだらけのパンクロッカーな格好をしてきた人がいるとしよう。あるいは、ゴスロリファッションで決めてきた女の子がいたとしよう。

 

その人に対して、怒りを覚える人がいるだろうか。ほとんどの人はその人のファッションには触れないでおこうと考えるはずだ。あるいは上手く褒める方法を考えるはずだ。別にこれらのファッションを否定する気はないが、大衆受けはしない。つまり、一般的な認識として、イケていない、ということがわかっているため怒る気にもならないのだ

 

もし、ポケットに手を突っ込むことがこのくらい一般的に見てダサイ行為だと認識されていれば、同じような扱いを受けるはずなのだ。そうであれば、ポケットに手を突っ込む人の割合も今よりもずっと少なくなっているに違いない。

 

表面的には否定されても、潜在的に良いという認識があるものはいつまでたってもなくならないのだ。