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そして今日も考える。

緊迫感がないと仕事は無機質になる

SIerITゼネコンなどと言われるように、その労働形態が階層構造になっている。一般的に、プライムコントラクターと呼ばれるゼネコンのトップに位置する会社が直接顧客調整や上流工程を担い、実質的な開発作業のほとんどは下請けに任せるという仕組みだ。

 

そして、下請け会社との労働契約はSESに基づいている。システムエンジニアリングサービスの略である。製造や設計等の実作業ないしは支援を行う労働形態のことだ。

 

私たちの会社はプライムコントラクターにあたる。実際にSES契約で複数の会社と一緒に働いている。私たちは顧客に対して成果を出すために、下請けの生産性や品質についてチェックすることで、進捗を管理している。

 

本来であれば、要件定義の段階で工程が見積もられ、それを基に要員計画が立てられる。なので、プロジェクトが終わるまで、最初に決められたメンバが変わることはないのである。

 

ただ、最初に決めた通りに物事が進むはずがない。案件が増え、メンバを増員する必要があることもあれば、逆に大幅な仕様変更により、メンバの数を減らさなければならないこともある。

 

私が今のプロジェクトに配属されて、何人もの協働者が退プロ(プロジェクトを退任すること)していった。それらの理由はもちろん様々である。前回のプロジェクトが問題発生してレスキューする必要があったり、次に始まる別の開発プロジェクトでどうしても必要な人材であったり。

 

マイナスな理由もある。例えば、純粋に生産性が低いせいで、別のメンバと交代させられてしまう人もいる。退プロと言えば聞こえは良いが、事実上クビ、戦力外通告である。

 

私たちは、自分たちの下で働く者に対してはこのように生産性を定量的、数値的に評価している。ただし、自分たちの生産性というところに対しては全く無頓着だ。だからよっぽどのことがない限り、プロパーがマイナスな理由で退プロになることはない。なんとも不条理である。

 

もちろん、我々は作業量と価値が比例しない仕事が多いので、生産性を図るのが難しい一面はあるのかもしれない。ただ、仕事ができるできないは何も生産性だけではないはずである。あるいは、価値をどうやって生産性に紐づけていくのか、そういうことも考慮して、自分たちの会社についてもちゃんと評価していくのが本来あるべき姿なのではないだろうか。緊迫感がまるでない職場は無機質だ。