∑考=人

そして今日も考える。

今の仕事の全てが「全く楽しくない」と思えるのは実は凄くいいことです

今となっては数年前ですが、フジテレビで「ヌメロン」というテレビ番組が放送されてたことがあります。2名のプレーヤーがお互いに決めた数字を当てるゲームです。私も友達と何回かやりました。

 

まず、お互いに自分の数字(3桁)を決めます。例えば、Aさんが「175」、Bさんが「084」といったように。同じ数字は使えません。ターン制で、相手の数字だと思う3桁の数字を言い合い、先に相手の数字を当てた方が勝ち、というゲームです。

 

ただ単に言い合うだけなら、いつまで立っても当たらないので、相手の数字だと予想した数字に応じてヒントを貰うことができるルールがあります。それは、

①数字が同じかつ位が同じならEAT

②数字が同じだが位は違うならBITE

として、それぞれの個数を教えてもらうことができます。

 

例えば、上記と同様、Aさんが「175」、Bさんが「084」と定めたとしましょう。Aさんが先攻でBさんの数字を「247」だと予想した場合を考えます。「2」と「7」はBさんの数字に含まれないので2つの数字はノーカウントです。残りの「4」ですが、Bさんの数字に含まれているものの、位が異なるためBITEとなります。ノーカウントが2つ、BITEが1つなので、BさんからAさんに与えられるヒントは「1BITE」となります。このようにして、毎回ヒント情報を増やし最終的に相手の数字を当てていくのです。

 

さて、このゲームですが、最終目標は何度も言ったように、相手の数字を丸々当てることです。つまり、ルールに沿って言えば「3EAT」という状態を目指すことになります。これが大前提です。

 

最初の予想で正解を言い当てられる可能性は1/720です。(3桁の数字の選び方は10P3=10✕9✕8通り。)この後、相手の数字を予想し、「2BITE」という返答が返ってきたとしましょう。「3EAT」を目指す身としてはかなり惜しい予想だったと言えます。ちなみに、この時点で正解を当てられる可能性がいくつになるかというと、1/63です。一気に10倍近く確率がアップします。

 

補足:Aさんが予想した数字が「840」で2BITEとなった場合

位は異なるが正しい数字の組み合わせは(8, 4)、(4, 0)、(0, 8)の3パターン(3C2通り)ある。

正しい数字の組み合わせが、

①8と4、②4と0、③0と8のパターン事に考えられる可能性を考える。

例)①の場合

考えられるのは「?84」「48?」「4?8」の3パターン(2✕1+1通り)。

「?」に入る数字は8, 4, 0以外の全ての数字なので、7通り。

よって、3✕7=21通り。

②、③についても①と同様のパターン数が存在するため、

21✕3=63通りとなり、確率しては1/63となる。

 

逆に今度は自分の予想が全て外れていた場合を考えてみます。何のヒントももらえないので、がっかりするかもしれませんが、「全てが外れた」というのもヒントそのものです。ちなみに確率は、1/210になります。(予想した数字以外から3つ選ぶので7P3=7✕6✕5=210通り。)

 

前述の例を見ると少しでも正解に近い回答が得られた方が良い、という話になって何の面白みもありませんが、これは3桁の数字の場合に限った話です。これがもし4桁の数字だった場合はどうでしょうか。

 

4桁の数字の場合、一発目の予想で当たる確率は、1/5040です。そして、もし一発目の予想で先ほどと同様、「2BITE」というヒントが得られたとしましょう。この場合、確率はがいくつになるか計算してみます。

 

例えば、Aさんが「4135」と予想して、「2BITE」という回答をもらったとしましょう。確率を計算するためには先ほどと同じく、下記3点の情報が必要です。

 

①正解した二つの数字の組み合わせは何通りあるか

②正解した二つの数字の配置パターンは何通りあるか

③二つの数字以外に入る数字は何通りあるか

 

①については、(4, 1)(4, 3)(4, 5)(1, 3)(1, 5)(3, 5)の6通り(4C2通り)です。②はこれまた具体例として、(4, 1)が正解だった場合を考えます。この時、パターンとして想定できるのは下記7通りになります。

  1. 14??
  2. 1?4?
  3. 1??4
  4. ?41?
  5. ??14
  6. ?4?1
  7. ??41

計算で求める場合は、3✕2+1=7通りです。(なぜそうなるかは考えてください。)そそして、最後の③については、0〜9の数字のうち4,1,3,5を除いた数字2つが入るので、6P2=6✕5=30通りとなります。

 

よって、①〜③より、6✕7✕30=1260通りとなります。つまり確率としては1/1260です。3桁の場合場合ほどではありませんが、最初の4倍の確率になりました。

 

ただ、予想が全部ハズレだった場合どうなるかというと、1/360になります。4つの数字がハズレならば、次は6個の数字の順列を考えれば良いので、6P4=6✕5✕4✕3=360通りのうちから一つを当てれば良いからです。

 

全部ハズレだったのに確率としてはヒントをもらった場合よりもぐんと上がっているんですね。よく考えれば当たり前なんですけど、結構面白い結果だと思います。

 

さて。タイトルと全く関係ない話をダラダラと書きましたけど、言わんとすることはわかったと思います。全部✕というのはとても価値のある情報なんです。

 

中途半端にヒントを与えられるのは、実はあまり良いことではないんですよ。上記のヌメロンの例にしてもそうですが、想定しうるパターンが複雑化するため、様々な仮定を導入しないといけなくなるんですね。そして、それを一つ一つ検証しないと正解にたどり着くことはできません。

 

また、自分で定めた仮定が間違っていることもあります。前提条件が複雑に絡み合うと、そういった見落としは必ず起こります。しかし、それに気づけなければ、正解にたどり着くことは決してできません。

 

一方で、全てハズレ、というのは上の計算式同様極めてシンプルです。もうハズレであるとわかっていれば、それについて検証する必要はないのですから。さっさと別の仮定を導入して新しい検証を始めることができます。逆に言えばそれができない人は、全てがダメ、というわけではないのでしょう。