∑考=人

そして今日も考える。

プロジェクトマネジメントという仕事

こんなことは正直この会社に入る前からわかりきっていたのだけれど、私たちの会社は「システム開発をする会社」というよりも、「プロジェクトマネジメントをする会社」という色が強い。もちろん、やっていることとしてはシステム開発プロジェクトなわけだが、私たちとしてのゴールはシステムを開発することではなく、プロジェクトを成功させることなのだ。

 

私はこの半年くらい作業者の一人として、色んな設計書の執筆を通して、システムの理解に努めてきた。自分としても知識が深まっていることは実感している。若手の先輩からは吸収力が高いと思われている、らしい。

 

ただ、課長はそんな私を見ていつも首を傾げる。たぶん、それは私が違うベクトルに成長しているからなのだと思う。それはお前の役割ではない、お前が発揮するべき価値はもっと他のところにあるんじゃないのか。そんな類の疑問を抱いているのだろう。

 

課長はよく、お前一人が自分の仕事をやりきったところでプロジェクトが失敗したら意味がない、と言う。自分が個人としてどれだけの力を発揮したところで、プロジェクトが沈んだら何もかもが無駄であると。

 

これは、たぶん今までの私の思想に反するものだ。私がチームの中で何かをするときのスタンスは自分の責務を果たすことでしかなかった。チームとしての結果は二の次で、自分がどれだけやれるか、それが全てだった。

 

今、私のプロジェクトは危機を迎えている。私はずっと今のチームの生温さに違和感を感じていたし、私の会社自体がそんな思想に取り巻かれているものだと思っていた。ただ幸か不幸か、外部のチームから見たときにはやはり楽観的にプロジェクトを進めているように感じられていたらしく、今になって再び体制が見直されている。

 

 私はずっとプロジェクトマネジメントという仕事を小馬鹿にしていたのだけど、プロマネがいなければ、本当に惨めなプロジェクトになってしまうことを実感した。(もちろん私の会社だからなのかもしれないが。)

 

実はシステム設計とプロジェクトマネジメントは共通点もある。どちらも上手い仕組みを作らなければちゃんと機能しないということである。設計段階で顧客の要件が主れていれば不完全なシステムになるし、作業の洗い出しや役割分担が不明確であれば、プロジェクトは失敗する。そして、それらは全体を俯瞰できる人でなければできない仕事である。

 

私はどちらかと言えばプログラマーよりの人間になりたいと考えていた。ただ、私の会社におけるプログラマーなんて、本当に作業者でしかない。こういってしまうと何だが、もうどのようなプログラムを書くのかが明確にされた上でコーディングと言う作業をするだけなのだ。数学で言えば、公式を与えられた上でそこに数値を代入して計算する、ぐらいの価値しかもたない。

 

だからこそ、プログラミングを理解しておくことは大切なのかもしれないが、いづれは設計ができるようになりたいと思うし、さらに上のレイヤーにあるプロジェクトマネジメントというのも割と面白い仕事なのかもしれない。