私は一人で昼ごはんとかを食べるときに個人経営の中華料理屋さんとかに結構行くんです。なんか冒険というか、正直美味しいことがわかっているお店にいくことにそんなにモチベーションを感じないというか、そんな感じです。
で、こんな感じで中華料理屋に行って、だいたいラーメンを頼むんですね。するとほとんどの場合、あんまり美味しくありません。いわゆる醤油ベースの中華そばが出てくることが多いんですが、自分の好みに合わないわけです。
たぶん、同じように感じている人は少なくないと思っていて、そのまずさの原因は何なのだろうと考えると、一つの結論に行き着きます。味が薄い。麺に味が染みていないし、そもそもスープ自体の味が薄いんですね。これはベースが醤油だからとかそういうは次元の話ではなくて、醤油が圧倒的に足りてないわけです。
これに大してラーメン屋のラーメンは美味しいです。味がしっかりしています。むしろ、味がしっかりしすぎて好き嫌いの分かれるラーメン屋も多いですが、基本的にはラーメンの味がしっかりしているのがラーメン屋のラーメンです。
中華料理屋もラーメン屋みたくすればいいじゃないかと私はずっと思っていました。
でも、中華料理屋とラーメン屋は実は本質的に全く別種のものなんですね。セグメントが違うというかターゲットが異なるというか。つまり中華料理屋は中華料理を食べたい人のための店でラーメン屋はラーメンが食べたい人のための店なんです。
何を言っているかというと、ラーメンの位置付けが異なるんです。ラーメン屋においてはラーメンが主役です。ラーメンそれ自体が美味しくなければいけないし、ラーメンの美味しさこそが売りです。そのため、スープに拘り、麺にこだわる。
ただし、中華料理屋に置いて、ラーメンは一つの構成要素に過ぎないんですね。そもそも、ラーメンだけを食べる人をターゲットとしていない、むしろ中華料理がメインで、サブとしてラーメンを食べたい人にはラーメンも提供できる、ぐらいの感じです。
要するに、ラーメン単品だけを頼む人はど真ん中の顧客ではありません。ラーメンと他の中華料理を合わせて食べるのが常です。すると、全体として最適化するためにはラーメンの味、主張が強すぎることは必ずしも良くない、むしろ悪いという話になります。
日本食においてお米は主食です。お米がなぜ主食として、ここまで普及しているのか。ふっくらしておいしいから?栄養価が高いから?どれも違います。味が極めて薄く、おかずと一緒に食べるのに適しているからです。
ラーメンも基本的には淡水化物です。つまり本質的には和食でいうお米に近いものです。味の濃い他の中華料理と食べるのに適したラーメンとはどんなものでしょうか。言わずもがなですね。
常に木だけでなく森を見るように心がけることです。