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そして今日も考える。

お金の価値を正確に測れていますか

大阪に帰ると、物価の安さに驚きます。というよりも初めて東京に来た時に、その物価の高さに驚いた、というのが正確な表現でしょう。家賃もさることながら、スーパーのお肉、ランチの平均価格、駐車上代や居酒屋の値段も私の今までの価値観を覆すものでした。

 

全国的に支社を持っている会社だと、東京で働く人と大阪(地方)で働く人の給料が異なる、ということもあったりします。物価の高さを考慮して、東京の方が少し多めに給料を貰えるような補正がかかっているわけです。だから、東京で働きたい、と考える人もいます。

 

言うまでもありませんが、「物価が高い」ということは、物の価格が高いことを示しています。例えば、大阪で豚肉100gが100円で買えるとして、東京では豚肉100gが200円するとしたら、東京の方が豚肉の価格が高いので、物価が高いということになります。

 

でも、実はこれって一面的な捉え方に過ぎないんですね。なぜなら、豚肉(物)の価格が高いというのは、お金基準の考え方だからです。お金基準に考えるというのは、お金の価値が全国共通であるという前提で考えることを意味します。

 

私たちは、東京で1万円を手に入れようが、大阪で1万円を手に入れようが、そこに対して全く同じ喜びを感じます。なぜなら、そのお金の価格は当然同じだし、そのお金の価値についても日本のどこにいたって変わらないと考えているからです。

 

しかし、冷静に考えてみるとどうでしょうか。先ほどの例で言えば、全く同じ豚肉が大阪では100円、東京では200円だったとして、東京の豚肉の方に価値があると言えるでしょうか。つまり東京で買った豚肉の方が美味しい、もっと言えば、人生を豊かにしてくれると言えるでしょうか。

 

そんなことはありませんよね。だって同じ豚肉なんですから。つまり、東京の物価が高い、というよりは、東京におけるお金の価値が大阪におけるお金の価値よりも低い、という考え方もできるんです。

 

為替の考え方と基本的には同じです。円安であれば同時にドル高を意味しますよね。海外のお金に換金する場合は、今円安なのかドル高なのかを考える人は多いと思います。円安ならばドルに換えると損をするし、円高ならばドルに換えると得をする、ぐらいの認識はあるでしょう。

 

ただ、大阪から東京に行くときにそんなことを考える人はまずいないんじゃないでしょうか。そもそも紙幣が変わらないため、円安とか円高とかを意識すらしないはずです。しかし、実際には大阪から東京へ行くことで暗黙の換金、価値変動が起こっているのです。

 

仮に、大阪における円を「大阪円」、東京における円を「東京円」と別の紙幣として考えるならば、常に大阪円高(東京円安)の状態になっていると考えることができます。つまり、東京の1万円は大阪の1万円よりも安いのです。

 

あなたの財布に入っている1万円には一体どのくらいの価値があるでしょうか。あなたの生活圏内においてその1万円で何ができるか、どんな良いものを手に入れることができるのか、そういった視点でお金の価値を考えてみるといいかもしれませんね。