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そして今日も考える。

付加価値を生み出すなら非機能要件に着目すべきでは

付加価値という言葉が注目を浴びるようになってから久しい。今はどこの企業も付加価値を生み出すことにさぞかし必死になっていることだろう。でも付加価値とは果たして一体何なのか。

 

元々の定義としては、あるモノの価値からそれを作る元となったものの価値を引いたものが付加価値、だそうだ。例えば、1000円分の木材を加工して、2000円の椅子として販売することができたのなら、その差額である1000円が付加価値ということになる。

 

ただ、現在の付加価値という言葉の意味するニュアンスとは大きく異なっている。そんなものは単なる加工だと言われてしまうだろう。今付加価値を加えるというのは、「クリエイティビティ」や「オリジナリティ」の追加が前提となっているように思う。

 

市場全体として、付加価値に注目が集まっていることはある一つのことを意味する。それは、人間が必要最低限のことをするために必要なモノやサービスは、簡単に提供する(手に入れる)ことができるようになったということである。付加価値をつけるというのは逆説的に言えば本質的ではない価値を生み出せということなのだ。

 

付加価値というのは「おまけ」の概念に近い。つまり無くても困らないのである。もちろん無くても困らないというのはコンシューマ目線での話しである。だからこそ企業側は困っているわけであり、ことのほか日本の会社のほとんどはBtoBという企業形態であるからこそ、付加価値が無くてはならないものぐらいの位置づけになっているという矛盾が存在する。

 

ところで、私は付加価値という言葉を聞くと、システム開発における「非機能要件」という単語を連想する。

 

システム開発において、お客さんの抽象的な要望をある程度評価が可能な形に落とし込んだものを「要件」と呼ぶが要件は大きく「機能要件」と「非機能要件」に分かれる。

 

例えば、ショッピングサイトを構築したいという要望が合ったとしよう。するとWebシステムから物品を購入できる機能(処理としては購入ボタンをクリックすると自動的に自分のクレジットカードから決済が下り、商品が自宅に届くなど)は機能要件に当たる。

 

一方で、非機能要件とはそのWebサイトからのページ遷移にかかる時間は何秒以下、とか一度にショッピングカードに保存できる個数は何個までとか定めた要件になる。これも分ける基準はあるにはあるのだが、色々あってややこしいので私はザックリこんな風に考えている。それがないと機能として成立しないものが機能要件、それがなくても機能としては成立するのが非機能要件

 

今やFacebookTwitterなど、どんなサービスでも、マイページに入るためには自分のアカウントでまずログインするページに遷移するだろう。だが、極端な話し、ログイン機能などのセキュリティを考慮した昨日は非機能要件に該当する。もちろんこれに関しては無いと困るわけだが、機能として成立するためには全くもって不要である。

 

もしシステム開発において付加価値をつけるのであれば、この非機能要件にこそ着目していくべきなのではないか。そんなことを考えた頃にはもうすでに設計は終わっていた。