∑考=人 〜プロメテウス〜

そして今日も考える。

自分で考える力を養いたいなら本気で電化製品を買え

昨今、「自分の頭で考える力」が重視されている。

 

多くの人が知っていることだと思うが、学生時代に優秀な成績を修めた人が必ずしも「自分の頭で考える力」を持っているわけではない。というのも、学校時代に問われる問題というのは9割方、解答が一つに定められているからである。

 

例えば、国語の問題で、”「バラ」を漢字で書きなさい。”という問題があったとすれば、それは”バラ”が”薔薇”という漢字で書けることを知っていれば解ける。知らなければ解けない。実にシンプルである。

 

試験の出題範囲に含まれる情報を全て頭の中にコピペできていれば、試験当日に必要なのは、問題分を読んだ時の知識瞬間検索能力のみである。決して自分の頭で考える力、思考力ではない。

 

数学などはある意味思考力を養うことができる科目だと考えられているかもしれない。ただ、数学は暗記だ!という参考書が売れているように、実際には数学にだって思考力は必要ない。問題に対応した解法を記憶していればそれで事足りる。私は本気でそう思っている。

 

では、仮に試験範囲の情報を全て記憶することができれば、超難関大学に合格することができるのか。結論から言うと、それはできない。なぜかと言うと、試験には必ず制限時間があるからである。

 

一定のレベル(といってもかなりのレベル)までは記憶力でほぼ何とかなると私は思っている。ただし、それ以上のレベルに到達するためには多少なりとも思考力が問われてくるのではないかと私は考える。

 

「制限時間内に全ての問題を解き終わるにはどうすればよいのか?」という課題を解決する必要があるからである。この課題は試験問題と違って答えはない。そして、この課題を解決するために必要となるのが、「自分の頭で考える力」なのである。

 

例えば、文字を書くスピードを上げるのも一つかもしれないし、瞬時に記憶から知識を引き出すトレーニングをするのも一つかもしれない。あるいは、問題ごとにどのくらいの時間がかかっているのかを分析して時間のかかっている苦手分野を重点的に対策する、というのも一つの方法である。

 

さらに掘り下げてみると、「苦手分野を対策するために何をすればよいのか?」が新たな課題となる。これを考えた時にも、参考書を買って自分で勉強するのか、家庭教師を雇うのか、塾に通うのかなど様々な選択肢がある。

 

「自分の頭で考える」というのは社会の現場では頻繁に使われる言葉だが、イマイチ具体的に何をすることなのかピンとこない人もいるだろう。私が思うに、自分の頭で考える力とは、ある課題に対して複数案を出した後、論理的な根拠から一つの案を選択する力である。

 

数学に考える力を養う側面があるのは、一つの問題に対して一つの解答しかないとしても、解き方に関しては複数用意されているケースが多いからである。そして、最適な解法を常に選択する際にはやはり論理思考力が必要となるのである。

 

例として、下記のような簡単な二次方程式を考えてみよう(求めるのはx,yの値)。

x + y = 2 ー①

x - y = 4 ー②

2次方程式の解法を知っている人なら下記のいずれかで解くだろう。

<解法1>

①+②から2x = 6 ⇨ x = 3

x = 3 を①に代入してy = -1

<解法2>

②を変形してy = x - 4ー③

③を①に代入してx + ( x - 4 ) = 2 ⇨ x = 3

x = 3 を③に代入して y = -1

 

しかし、他にも行列式に変換して逆行列を掛ける<解法3>もある。(方法は割愛)あるいは、算数で習う鶴亀算のような方法<解法4>で解くこともできる。そして、どれを選ぶべきかは、x, yの係数や記述式か選択式かなどによって微妙に変わってくる。最も最適な解法を選択する場合に限り、数学は論理思考力を養うことに寄与する。

 

ただ、今更数学を勉強する必要性もなければ、モチベーションも上がらない人も多いだろう。そんな人に是非おすすめなのが、電化製品を本気で選ぶ、ということである。

 

去年は様々な電化製品を購入したが、電化製品をちゃんと買おうとすると、実はとても難しい。”ちゃんと”買うとは、コスト、スペック等を総合的に判断した上で購入するということである。

 

例えばテレビの購入を考えているとすると、当然ながら、「どんなテレビが自分にとって良いのか(自分はどんなテレビが欲しいのか)?」というのが一つの課題となる。

 

もちろん、漠然と薄型のテレビが良いとか、大きいテレビが良いとか、画質がきれいなテレビが良いとかはあるはずだろう。ただ、画質がきれいなテレビのモデルを調べようと思って、メーカーのサイトのスペック比較表なんかを見ると、実に色んな情報が記載されている。

 

そしてその中に含まれる情報は、一般の人には馴染みのない専門用語ばかりである。(余談であるが、これはぜひ電気メーカーに改善してほしいと常々思っている。)テレビだと、表示性能はIPS方式だの、パネルは4Kだの、接続端子はARC対応だの。

 

ここで、自分は解像度が良ければそれで良いから、と言ってわからない単語を無視してはいけない。少なくとも、スペック表に現れている用語については調べて、その上で何が自分にとって一番良いかを検討する。ということを愚直にやってこだわるのである。

 

こうすると、自分の中になかった知識を身につけた上で、どれが最も自分にとって良いかを複合的に考えることができる。また、調べていく上で、あ、ネットワークにも繋げられたほうが良いな、とかHDMI端子に対応している方がいいな、とか今までは自分で認識できていなかったことを認識した上で判断することができる。

 

最終的に自分の価値観から論理的に電化製品を選択し、購入まで至ることができれば、十分考えたと言えるであろう。