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そして今日も考える。

貯金にもリスクはある

今日はライフデザイン、人生設計について考える講義を受けてきた。内容としては、今の自分の収入や支出がどのくらいで、今後の人生の中で自分がやりたいことを実現するにはどのくらいのお金が必要で、そのためには今の若いうちから貯蓄をしなさい、という趣旨のものであった。

 

私は基本的に貯蓄に興味はない。会社が給料から天引して貯蓄してくれる制度(財形)があるけれど、私は月に1000円しか入れていない。(ちなみに1000円入れているのは少しでも財形をやることで年間10000円が会社から追加されるからである。)

 

そもそも私は長期的な人生計画など持っていないし、考える必要もないと思っている。今から老後の人生で何がやりたいかを考える前に、今やりたいことを考える方がよっぽど重要だろう。私たちはまだファーストライフが始まったばっかりでセカンドライフのことなんてもっと先で良い。

 

受験に喩えれば、センター試験まであと1年もあるのに、今から2次試験の対策を始めておくことが重要だと言っているようなものだ。現にそういう意見は必ず存在するが、センター試験でこけては元も子もないのだから、まずはセンター対策をするべきである。最悪の場合、2次試験の対策なんてセンター試験が終わってからでも間に合う。

 

誤解のないように言っておくと、セカンドライフなんてどうでも良い、と言いたいわけではない。ただ、あくまでファーストライフを優先して考えるべきだというだけで、若いうちから老後を見越した貯蓄をするより、今あるお金は今やりたいことをするために使った方が良いと思うのである。余った分を貯金に回すぐらいにしておけばいい。

 

私がこのライフデザインにおいて最も気に要らない点は、自分が80歳ぐらいまで生きることを前提で計画させられてしまうことである。前提条件の根拠は、日本男性の平均寿命が80歳を超えたから、程度の理由に過ぎない。

 

もちろん、全体的に見た時に80歳まで生きられる可能性は高くなってきている。しかし、私の父が50歳で死んでしまったように、軽井沢のバス事故で多くの若者が亡くなったように、自分が何歳まで生きるかなんて神のみぞ知ることなのだ。

 

80歳まで生きるとすれば、このぐらいのお金が必要になる、とかそういったシミュレーションをしてみることは重要だけれど、「80歳以降のお金が足りないから今からもっと貯金しないと」、なんて考えるのはやっぱり違うと思う。こんなままでは一向にデフレ問題も解消されない。

 

あと貯蓄と言われると、すぐに貯金のことだと考えてしまう人がいるが厳密には意味合いの広さが異なる。貯蓄には、貯金や株式投資、不動産投資などの意味も含まれている(はず)。要するに価値を蓄えておくことである。

 

株式投資や不動産投資は、半ばギャンブルのような捉え方をされることが多く、貯蓄という言葉のイメージとは反するところはあるだろう。一方で、銀行にお金を預けておけば安心、少なくとも1000万円以下の金額であれば保証されるし、おまけとして年間金利0.2%くらいは増分が見込める。だからもっとも安全に価値を保存できるのは銀行であると考える人が多いのも無理はないと思う。

 

しかし、ここで断言しておくと、1000万円を銀行に預けておけば1000万円分の価値が保証されるわけではない

 

今1000万円貯金しても、20年後にはスーパーインフレ時代が到来して、物価が現在の2倍まで高騰したとすれば、実質的な貨幣の価値は1000万から500万まで下落することになる(※1)。銀行に預金したところで(もちろん自宅の金庫で管理していたとしても)、損をするリスクはあるのだ。株式や不動産に比べれば、物価は変動しにくい、というだけの話である。

 

幸か不幸か、なんとなく安倍政権のインフレ政策は失敗に終わりそうで、まだしばらくはデフレが続きそうである。この場合、結果的には預金をする方が賢い選択なのだ。しかしながら、預金が必ずしも最良の選択肢ではない、ということを留意しておけば、資産運用の一つの選択肢として投資をポジティブに考えられるのではないだろうか。

 

(※1)参考

n1dalap.hatenablog.com