∑考=人

そして今日も考える。

本当にそれは問題?本当にそれは解決策?

何か新しいことを始めるにあたって必ず出現するのが問題です。問題と言えば、なんとなーく悪い物事をイメージすると思います。そして、問題があるなら対処しなければらない。一般的にはそういった認識があるでしょうね。

 

でも、私たちは全ての問題に対処できるわけではないんです。人生が時間無制限であるならば、全ての問題に対処するというのも一つの解となりうるんでしょうが、残念ながら制限付きの時間の中では、本当に重要な、解決すべき問題だけを取り扱う必要があるんです。

 

では、本当に重要な、解決すべき問題とは何なんでしょうか。こう問われると、一言で答えるのは難しいものです。特に、何らかの問題に対する対策が形骸化し、目的もなくただの習慣として行われているケースは非常に多い。

 

会社の中で言えば、進捗会議と呼ばれるものが良い例です。また、朝会や夕会といった日時で行われる会議についても同じことが言えます。これらの目的を聞いてみると、進捗を共有したり、今後やるべきことを議論すること、という旨の回答を得られるんじゃないかと思います。

 

ここでもう一歩踏み込んで考えてみますか。進捗が分からないことは果たして問題なんですかね。常識的に考えれば問題のように思えます。誰がどんな仕事をしているかわからないし、どこまで進んでいるかもわからない。そんな状況は問題といえば問題のように感じます。

 

でも、進捗が分からないという状況は、実は問題ではなく、リスクなんですね。じゃあ問題とリスクって何が違うんでしょうか。

 

問題とはそれ自体が悪い結果であるのに対し、リスクは悪い結果を引き起こす元になりそうな状況のことですね。言葉の意味的には何となくわかっていただけると思います。

 

極端な話、「全員の進捗状況は一切知らなかったけど、社員がみんな優秀で納期までに成果物をちゃんと収めることができました!」だったら、別に何の問題もないんです。「納期までに成果物を収められない」というのが問題で、「問題が発生しそうな進捗管理の不備」がリスク、というわけです。

 

もちろん、進捗管理ができていないと極めて失敗するリスクが高いことは過去のプロジェクト経験からの洞察なので、進捗管理ができていない状況自体を問題と考える人も多いのだと思います。

 

※補足ですが、問題とリスクの定義を隔てる境界線は人にとって曖昧だったりもするので、自分の会社や先輩たちが何を問題と考え、何をリスクとして考えているのかは理解しておいた方が仕事の優先順位とかは立てやすいです。※

 

過去の経験からこういうリスクがあるとこういう失敗(問題)に繋がる可能性が極めて高いことは問題として取り扱う、というのはまぁ個人的には良いのかなと思っています。結局リスクに分類しても問題化する可能性が高いものは対処しないといけないので。

 

しかし、解せないのは、対策が単なる問題の裏返しになってしまっていることです。進捗管理ができていないことを問題として定義してしまったばっかりに、進捗管理をするために定例会議を開きましょう、という解決策に落ち着いてしまっていることです。

 

おそらく、問題発生までには色んなリスクが積み重なっているはずで、そのメカニズムは下記のような流れになっています。

 

事象1:各チームの進捗状況が分からない。(リスク)

事象2:プロジェクトを進める上で新たな課題の発生に気づけない。(リスク)

事象3:要員の配置が適切にできない。(リスク)

事象4:課題への対処ができない。もしくは人手と期間が足りない。(リスク)

事象5:納期に成果物を出せない。(問題)

 

つまり、進捗状況が分からないことが直接的に問題に繋がっているわけではないんですね。逆に言えば、進捗状況がわかったところで、課題の発生に気づけなかったり(事象2)、要員の配置を適切にできなかったり(事象3)、それらを理解していても対処をしなかったり(事象4)すれば、問題への対策としては何の意味も持たないということです。

 

なので、きっちり問題の対策をするならば、事象1〜4の全てを遂行する必要があるんですね。しかし、定例会議をする、という形骸化した対策ができあがっているせいで、事象2〜4の対策を疎かにしている組織って多いんじゃないでしょうか。はっきり言って、2〜4の対策をやらないなら、1の対策をやる必要なんてないでしょう。

 

あるいは、全てに対策を打つのが難しいのであれば、事象1への対策はスパっと諦めて、事象3とか4の対策を講じた方がより直接的に問題発生を食い止めることに貢献できると思います。本来、進捗を管理する目的って、事象2〜4への対策をすることでもありますからね。

 

仕事の話っぽい感じで書きましたけど、生きていく上でも本当に重要ですからね。テレビとかで「こういうことやってるとこんな問題がありますよ!」「これを避けるためにはこういうことをした方がいいです!」「そのためにこんな商品あります!」みたいないことを言われて簡単に影響受けちゃう人は、自分の人生にとって何が問題なのかをよくよく考えた方がいいです。

 

色んなことをなんとなーくやってると、ほんとうに何の問題でもないことを問題だと思って、全然意味のない対策をやって、色んなモノを無駄にしながら生きていくことになりますからね。是非注意していただきたいと思います。