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∑考=人

そして今日も考える。

ハイエナビジネス

 SIerの業績は何によって決まるのか。それは良質なシステムを作ることではない。画期的なサービスを生み出すことでもない。良い顧客を持つことである。良い顧客とは、彼らの事業性が高く収益が安定しており、かつITに対して積極的に投資をしてくれる顧客のことである。大規模な案件を受注できれば後はマージンを差っ引いた賃金で外注、委託するだけだ。

 

もちろん、設計やマネジメントを確実に遂行する必要はある。ただ、良い設計や良いマネジメントをすることが本質ではない。あくまで顧客の財布である。もし顧客毎で部署が分けられていれば、配属の時点である程度業績の評価は決まってしまう、ということである。やっていることは商社と同じなのかもしれない。

 

なぜこのような構図になってしまうのか。

 

1つは、今のSIerのほとんどが成果報酬型でない、すなわち、システム開発にかかる工数(労働力)でシステムの金額が定められていることにある。

 

つまり、出来上がったシステムに全く価値がなかったとしても、私たちはシステムを開発しました、という事実に対して報酬が支払われるシステムになっている。その代わりに開発後も一定期間は瑕疵担保責任を負うことにはなるが、それでもSIerにとっては非常に有り難い仕組みである。

 

もう一つは、出来上がったシステムが顧客の売上向上にどれだけ貢献したのかが十分にトレースされていない、ということである。システム開発が成果報酬にならない理由でもある。

 

とは言え、これはなかなか困難なことだと察する。例えば、店舗でしか商品を販売していない店が、オンラインショッピングサイトを構築した結果、売上が倍(元々の売上が一日あたり100万円だったのが、200万円)になったとしよう。

 

この場合、システムがもたらした価値は一日あたり100万円なので、そのうちの30%を報酬にするとすれば30万円である。ただその効果はいつまで続くかはわからない。数年後には効果がさらに増えるかもしれないし、半減してしまうかもしれない。

 

あるいは、たまたまサイト構築の時期に売上が上がった別の要因があったのかもしれない。オンラインで購入する人が増えた半面、リアルで購入する人は減っているのかもしれない。もちろん、O2Oという言葉があるようにどちらも増えているのかもしれない。こうなってくると、明確にシステムがもたらした価値を数値化するのは不可能である。

 

こんな背景もあり、なんとなく、業績は上がったし、次も投資しよう、ぐらいにしか考えていない企業は結構多いんじゃないだろうか。費用対効果を測るのが難しいために、単なる「効果」だけを見て投資している企業も多いと思う。「そもそも会社の体制の中に「システム部門」が存在しているために意味はなくてもシステムを作ろうとしている会社も結構あるんじゃないだろうか。」

 

結果的に、今業績の良い会社は事業性が低くても多額なIT投資をしてくれるし、逆に業績の悪い会社は事業性が高くてもあまりIT投資をしない。将来的な事業性は二の次なのだ。

 

我々はそういうお客さんのハイエナをして稼いでいる気がする。