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そして今日も考える。

SIerは残業を減らせるのか

システム開発 仕事・働き方

SIerの平均残業時間は月50時間ぐらいだと言われています。これはあくまでも平均の数値であって、会社の規模とか、プロジェクトの工程や状況、開発か維持かといった役割などにかなり左右されるのも事実です。まぁ、私個人としては数年の平均残業時間もだいたい月40〜50時間ぐらいなので間違った数値ではないと思います。

 

で、この残業時間って多いの?少ないの?って話ですが。同じ業界にいる人、特に上の世代の人から見ると少なめです。過労死のボーダーと言われている月80時間残業の半分ちょっとしかありませんし。

 

うん。この感覚が多分問題なんですよね。

 

私ずっと思ってるんですけどね、一度何らかのシステム開発プロジェクトが終わったら、必ず原価にの計画値に対して実績値がどれくらいだったのか、を振り返ることがあるはずなんですよ。システム開発の原価、中でも人件費は工数で算出されます。例えば30人が10ヶ月やってできるなら300人月なので、そこに単価を掛けた値が人件費でとなります。

 

一般的には1人月は20人日で、1人日は7.5人時として計算されているはずです。よって、もし残業時間が発生している場合、その残業した時間分だけ原価が増しているはずなんです。仮にメンバ全員が月50時間残業していたならば、30人×500時間=1500人時なので、1500÷7.5÷20=10人月分だけ原価が増えていることになります。よって見積が誤っていたと判断できるはずです。

 

であれば、次回開発時の見積の数値はこの反省点を踏まえた見積金額となっていなければおかしいですよね。単純に考えたとしても、50kステップのシステムが300人月でできると思っていたところが310人月かかったのであれば、次100kステップのシステムが600人月では終わらない、620人月はかかると考えるべきです。

 

つまり、何が言いたいのかというと、SIerは開発の経験値が蓄積されればされるほど、残業時間はなくなっていくはずだ、ということです。でもそうはならず、残業が状態かしている職場がほとんどではないでしょうか。これはいったいなぜなんでしょう。

 

考えられる要因は三つです。反省していない、楽観視、見積金額高騰の回避、です。

 

そもそも、見積金額の妥当性を振り返っていない、という組織は十分にあると思います。実を言うと、私の組織もやっていないんじゃないかと思います。というのも各工程の生産性とかは未だに数年前の数値を使ってたりしますし、誰かが開発完了時に生産性を計算しているのかもしれませんが、現場レベルの人間は全く意識していません。

 

また、プロジェクトとして黒字になればOKとか原価率このぐらいであればOKみたいな基準さえクリアされると、一切問題分析がされない可能性もあります。システム開発の場合は、原価の中にリスク費と呼ばれる、想定外の問題が起きた場合に対処するためのコストが積まれるものですが、残業によるコストもこのリスク費で吸収できれば問題がなかったと見なされてしまいかねません。成功したにしろ失敗したにしろ過去はちゃんと振り返るべきですね。

 

次が楽観視です。プロジェクトは一つとして同じものはありません。プログラムの規模だけで工数が決まるわけではなく、そのプロジェクトの特性とか、環境・要員のスキルなど、様々な特性を考慮して決める必要があります。過去の類似プロジェクトを参考にはできますが、その値をそのまま使えるということはほとんどないのです。

 

すると、ありがちなのが、過去のプロジェクトの生産性を基に考えした上で、「今回は有識者が多いからこのぐらい生産性が上がるだろう」とか「今回は開発の難易度が過去よりも低いからこのぐらいの期間でいけるだろう」みたいな意見がでます。そして、この場合に語られる「このぐらい」という数値には何の根拠もありません。

 

単なる楽観視です。この楽観視が原因で、簡単だと思われたプロジェクトも常にみんな忙しそうにしている光景はよく見受けられます。PMなどのポジションの方は安易に数値を変更してチームメンバを苦しめない様にしましょう。

 

最後の理由は、上記の2つを引き起こす原因ともなっている、見積高騰の回避です。

 

知っている人もいると思いますけど、システム開発費って、めちゃくちゃ高いんです。下っ端1人1ヶ月雇うだけで100万近くします。例えば、私が先日作ったAndroidのアプリですけど、あれをSIerに発注して作ってもらうと、たぶん500万ぐらいはかかると思います。本気です。

 

なぜそんなに高くなってしまうのかは、オーダーメイドとか多重下請構造とかいろいろ理由はあります。が、とにかく素人の方が直感でイメージするよりはるかに高い、ということです。

 

ただでさえ高いのに、10人月増えるということはさらに1000万円高くなる、ということです。無理です。そんな額をお客さんに提示したら受注できません。営業に怒られます。見積もり精査という名の、リスク許容、残業容認の末、受注を勝ち取っているのです。

 

つまり、今のSIerの働き方では残業減らせないよね。