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そして今日も考える。

テレワーク推進に足りないのは働き方のフォーマット

昨日はテレワークデーということで、うちの会社でもテレワークデーのポスターおよびテレワークの推奨が告知されていた。これでめでたくテレワーク、と思いきや、いきなり会社のサーバに接続できない事態が発生。結局仕事をしだしたのは夕方になってからであった。

 

制度を作って改革を促す、というのは典型的な日本人の短絡的発想だと常々思う。6万人もの社会人が実際にテレワークを実施したらしいが、割合として多いとも言いがたく、差し詰め、既にテレワークという働き方が部分的に導入されていた企業が実施しただけでは?という印象である。

 

そもそも、テレワークが導入されない背景を無視したところで、テレワークの導入が進むはずもない。仕事の形態を変えるということは、仕事のやり方を見直す必要がある、ということである。その理解が足りていないから、テレワークを導入しない理由として、「テレワークに適した仕事がないから」が70%もの割合をしめているのだ。

 

mainichi.jp

 

ちなみに未だにIT化が進まない業務というのも実は全く同じ構造であることが多い。システム化されない理由として、「業務が複雑化してシステム化できないから」などと言われる。これでは当然システム化はできない。まず、業務をシンプルにそぎ落とすという最も根幹的かつ、困難な部分の検討をすっ飛ばして単純にシステム化しようとするからできないのだ。(これがアメリカなどであれば、システムに対して業務を合わせていくマインドが主流のため対応されたりするが日本だとそうもいかない。)

 

例えば、私が最近考えているのは、会社に電話は必要なのか、というものである。私はプライベートでも仕事上でも電話をかけられるのが実に嫌いである。全てメールで文字に起こしてくれれば記録にもなるし、時間を取られないし、非同期に仕事を進めることができる。電話に対応しなければならないのもリモートワークができない一つの原因なのでは?と思っている。

 

しかし、電話機無くしませんか?などといったところで到底受け入れられない考え方だろう。なぜなら会社には当たり前のように存在しているし、実際に毎日それらを使って連絡のやり取りが行われているからだ。新人研修で習うほどに社会人として基本的なスキルの一つにもなっている。今、不要かと問われれば、当然必要である。

 

ただし、電話はあくまで連絡するという目的を達成するための手段でしかない。つまり別の手段があれば代替は可能だろう。あるいはもっともいいやり方さえ考えることができれば、電話がある必要はない、という状態にできるはずである。

 

例えば、ソフトウェアのベンダなどは基本的な問合せは電話NGとしているケースも決して珍しくない。考えてみれば当然で、電話でやり取りをしても記録は残らないし、話も整理されないし、時間もかかる。多数のユーザーに対して問合せに対してそんなに時間を取られていては仕事にならないからだろう。

 

変わりに問合せ専用のWebポータルやメールでの問合せが受付できる。もちろん、例外的に電話応対をすることもあるのだろうが、こういった地盤の築き方を変えるだけで、仕事のやり方というのは変えられるのだ。問題なのは、今の地盤こそはいつになっても絶対的に正しいという大いなる勘違いにある。

 

「打ち合わせは対面でやるべきだ。」「いつでも連絡がつくように電話が必要。」「LINEで連絡を取るなんてマナーがなってない。」

 

これらは全て、自分が教わったことがいつまでも正しいと思い続けているめでたい中高年の勘違いでしかない。ちゃんと今の時代にできることとやるべきことを考えた上で、考え方・働き方をフォーマットしてみることだ。