∑考=人

そして今日も考える。

責任の価値が減少する時代

システム運用の分野でオペレータの価値が下がってきている、という話を前回した。これはもちろん、定型とか定常業務を遂行することの価値が下がってきているという話もあるんだけれど、本質的には責任の価値が減少してきている、ということだと思う。

 

本来、オペレータの価値というのは、正確に確実にやるべきことをやる点にある。なぜかというと、ミスをした場合の影響がデカいから。全ての作業に漏れがあってはならないし、ミスも許されない。だからこそ、絶対にミスをしないことに価値がある。

 

これまではなんというか、システムに対する懐疑心みたいなものを持っている人が多くて、人を完全に無くすことに対する躊躇があったのかもしれないけれど、実はシステムというのはすごく優秀で、人が作業をするよりも圧倒的に品質は良くなる、ということがわかってきたのが昨今なのだと思う。技術的に難しかったというよりも、時代がようやく技術の価値を感じ始めた、ということである。

 

これからAIに奪われていく仕事、というのもほとんどが基本的には、責任は伴うが単純な仕事、である。例えば、オペレータに似たような業務だと、コールセンターや窓口業務というのがそれにあたる。

 

これらの主な業務は質問内容を正確に聞き取って、それに対する回答を期限内に届ける、というものだ。単純作業ではあるが、いくつかパターンが存在すること、そして何よりフロント業務というところで、どうしても人を配置することが望ましかった。顧客対応には大きな責任が伴うのだ。

 

これまでは人が対応した方が良いという理由から、人件費の安い海外へアウトソーシングする企業も多かったと思うが、実際には要員の対応などがマイナスの影響を与えることもあり、それに対しての教育コストまでかかるのが普通だ。

 

だから、そう遠くない将来に必ずAIに切り替わることになる。まだ今ぐらいでは、いきなりAIを導入しても、うまく対応できない場合があるのではないか、という懸念があるかもしれないが、色んな企業の実績が積み重なっていけば、人よりもAI、という流れに必ずなる。既にコールセンターをAI化している企業は存在する。

 

自動運転車というのも全く同じだ。自動運転車に対する一番の懸念は事故が起きた時の責任が誰にあるのか、という点である。責任の所在はともかく、システム的に運転をした方がマクロ視点でみれば事故率は低いのが現実だろう。今は確実に事故なく荷物を届けることを価値として運送業車という仕事は存在しているが、人よりもミスが起こらないとなれば、確実に自動運転車に置き換えられる。

 

オペレータにしろ、コールセンターにしろ、運送業車にしろ、ミスがあった場合は必ず発注者側の責任になるのだから、AIの方がミスが少ないと判断された時点で、これらの仕事は不要になるのだ。

 

さらに時代が進めば、「管理」という仕事のほとんどがAIに置き換えられていくんじゃないかと個人的には思っている。正確には管理のできないマネージャーよりもAIの方がきっと良い管理をしてくれる、という話だ。進捗の実績を入れさせて遅れているか遅れていないのかを判断し、人の配置を検討する、ぐらいであれば、別に高度な思考力は必要としない。

 

マネージャーの給料が高いのは、管理することの責任が大きいからである。チームメンバの成果が仕事の成果であれば、それらがちゃんと機能するように管理することの責任は当然大きい。とは言え、管理という仕事全ての難易度がすごく高いかというと、そういうわけではない。最終的にコミュニケーションを使って部下を動かす権限としての力やポジションは残るのだろうけど、管理業務自体はほとんどが不要になるんじゃないだろうか。