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そして今日も考える。

「絵にできる」は武器になる ~図解の基礎の基礎~

組織で働くビジネスマンにとって、最もポータブルで汎用的なスキルはズバリ「絵にする」力だ。絵を使えると良いことづくしである。

 

まず、一見見落としがちだが、図解ができると情報をイメージとして理解できるため、自分自身の理解が速くなる。

 

情報が整理、構造化されているので比較検討もしやすいため、結果的に意思決定のスピードも上がる。

 

そして、何よりも効果を発揮するのはコミュニケーション、すなわち情報伝達のスピードを上げる点だ。組織とは色んな専門、立場の人がコミュニケーションをとることで回っているので、いかに情報伝達を速く正確に行うかは極めて重要な能力である。

 

逆に、図解ができないと、言葉や文章だけで説明になり、認識の齟齬が発生したり、言っていることをよく理解してもらえなかったりと、困るケースが沢山ある。コミュニケーションコストが沢山かかるので、業務の推進が遅くなる。

 

以上、図解できると何が嬉しいのかを文章で書いてみたけれど、これも絵にすれば、たった1枚。  

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では、図解できる人になるためにはどうすればいいのか。図解する上で大事なことは何なのか。要点を絞って(一応ブログなので、文章メインで、最後に絵で表現、の形で)説明していく。

 

と、その前に「図解表現とは何なのか」をはっきりさせておく。

 

誤解を恐れずに言ってしまうと、それは「表」と「絵」で表現することである。理解がしやすい反面、表現するのは慣れないと難しい。一般的には、表よりも絵の方が理解がしやすいが表現の自由度が増すため、難しくなる傾向になる。

 

対局にある概念は文章など言語による表現である。もちろん、文章にも箇条書きなど構成的な要素もあるが、図や絵に比べるとはるかに書くのが簡単だが、理解するのは難しい。

 

まとめると、こんな感じ。 

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図解に慣れていない人がこんな風に表現するのはもしかすると少し難しいかもしれない。また、いわゆる「図解思考」みたいな書籍を見てみると、様々な図解パターンを紹介されるため、結局どんな風に表現すれば良いのか迷ってしまうこともあるだろう。

 

しかし、実のところ沢山ある図解のパターンは基本形の派生に過ぎない。なので、本エントリでは、図解をする上での最小限の表現パターンのみを紹介する。それはたった三つ。表、階層表現、動的表現のみ。この三つを意識すれば、上記ぐらいの図解はすぐにできるようになる。

 

まず、一つ目は表、マトリクス表現。何かを複数の観点で比較する時に必ず登場する。表は最も基本的かつ単純な図解表現である。

 

例えば、表と文章の特徴を比較するための表は下のように表現することができる。これだけでも箇条書きよりも全然わかりやすい。

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しかし、ビジネスの現場で使われる情報はこんなにシンプルにはならない場合の方が多い。そして、情報量が多くなると、全てをこの形で表現するのは難しくなってくる、あるいは、結局文字情報が多くなりわかりづらくなる。

 

こんな時に登場するのが、二つ目の階層表現である。階層表現は本来、各情報の構成要素を細分化する際に用いられるものである。

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例えば、上記の形で言えば、日本というのは、各地方(北海道地方、東北地方、関東地方・・・)から成りなっており、例えば、さらに関東地方は東京、千葉・・・から成り立っている、ということを表現することができる。数学的に言えば、右側の要素が1つ左隣の部分集合になっていることを表している。

 

ただ、私は別の必ずしもこの包含関係を示すために使う必要はないと考えている。どういう時に使えるかというと、マトリクスの次元が増えた時に使う

 

例えば、先ほどの文章と表の比較は(文章と表)×(難易度と理解度)の2次元のマトリクスであった。これを仮にそれぞれの難易度や理解度が高いと評価した理由を付け加える場合、すなわち(文章と表)×(難易度と理解度)×(理由)みたいに、3次元以上の情報を見せたい時に効力を発揮する。

 

つまりはこういうこと。

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元々2×2で表現していた部分を階層表現にすることで、1次元に変換したからこそ、こういう書き方ができる。なお、今回は縦軸のみ階層表現にしているが、扱う情報によっては横軸を階層化することも可能である。ほとんどの多次元情報を表にして整理することができる。

 

さて、表と階層表現がマスターできれば、その先の「絵を書く」もそれほど難しくはない。例えば、扱う情報が数字で定量的に表現できる、あるいは「できる」「できない」みたいな二元論で表現できるものであれば、それは絵にすることができるし、そうした方が見やすい。逆にそうならない情報は絵にしない方が良いこともある。

 

思考のスタート地点が文章表現だとして、扱う情報の種類に応じて適切な表現方法を階層表現で整理するとこういう形になる。

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正確には、次元をなるべく抑え、各情報を2元的に扱うためにどういう言葉を選ぶのか、というのが絵で表現するポイントである。

 

で、この上の表自体は、1つの表にまとまっていて(2次元情報)かつ「できる」「できない」の2元的に表現できているので、「より良い表現方法」も当然絵で表現することができる。

 

一例はこんな感じ。

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こう言った絵の表現パターンについて沢山あるが、本質的にはほとんどがマトリクス・階層表現の派生系に過ぎないことだけ留意していただければと思う。(沢山のパターンを知りたい人は図解思考の書籍を参照されたし。)

 

ただし、絵でしか表現しきれないものももちろんある。それが最後の動的表現である。

 

例えば、こんなフロー図。絵で表現するための思考ステップである。

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もちろん、「順序」などの列を追加して先ほどまでの表で表現することもできるが、明らかにこちらの方がわかりやすい。順序などのフロー、あるいは因果などの関連性を示す場合も絵で表現した方がよい。表現の手段はたった一つ、矢印だけ

 

ちなみに、応用形として絵×表みたいなパターンで表現することもできる。

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最後に、もう一度「絵にする」ために大切な3つの要素のおさらい。

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この3つを意識していれば、どんな情報も必ず絵にできる。「絵にできる」はこれからのスピーディーな社会を生き残る上での最強の武器となりえる。あとはただ練習あるのみ。