先日、とある海外製品の数十万ぐらいの研修に(もちろん会社のお金で)行ってきたんだけど。で、まぁその製品がなんなのかっていうと「マネジメントシステム」の製品で。
マネジネントシステムっていうのは、つまりは管理を効率的にやるための仕組みとか考え方のことなんだが、そのパッケージ製品だと考えてもらえばよい。
例えば、管理の一つに進捗管理というのもあるけれど、進捗管理自体は実は結構簡単で、要はいつまでに何をどれだけ終わらせなければならないのかを決めておけば自ずと進捗率は数式で算出できるわけ。
つまりインプットとルールを定義すれば機械的に結果がわかるので、システム化が可能なのである。
私も管理がメインと言われる会社なので、色んなマネジメントシステムを使ってたりするし、他の会社もそうじゃないか?と思ってたりはするんだけど。
つまりそれがどういうことかを意味するかというと、管理って実は難しくないということであり、人がやる必要もなくなってきているということ。たぶん、私が社会人になる頃からそうだったと思ってる。
過去に見たエントリでもそんなことが書かれていたし、事実そうである。
では、マネージャーとかマネジメントをする役割の人が全く要らないのかというと、そういうことではない。マネージャーに求められる役割が変わったと言うのが正しい。
そもそも、管理すること自体が目的化して、管理簿を作ることが仕事になってしまっている人が会社の中には沢山ある。管理の仕事を人がやると、事務的で面倒だしつまらない。さらに、付加価値もほとんどないのだが、”管理職”なんて名前があるものだから、そういうしょーもない仕事を物凄く高い賃金で課長クラスの人たちがやっていたりするのだ。
でも管理業務の本当の目的は管理(すなわち現在の状態を把握すること)によって適切なアクション、改善に繋げるところにある。本当に求められる能力というのは、正しく管理することではなく、管理している結果から問題を見抜き解決する力である。
そもそも”管理する”ことはしばしば英語だと"manage"と言うが、この単語の本質は"何とかして成し遂げる"という意味である。つまりプロジェクトマネージャーというのは、プロジェクトを何としても成功させられる人なのだ。プロジェクトを管理する人ではない。
私も会社柄、色んな管理をしてきたが、結局のところ価値を示せるのは問題をいかにして解決するか、の部分でしかないと思っている。そのためにありとあらゆる思考を働かせられる人、それがマネジメントを担う者の宿命なのだ。
今まさにそういう時代に移り変わった・・・、という文調で綴っているが、実は今のマネジメントはさらに先の段階に来ているらしい、ということを痛感したのが、下記のエントリである。
本エントリでは、「能力のアウトソーシングが始まった」という言い方をしているが、要するに、問題解決能力だけでは相対的な価値が発揮できない時代へ突入しつつあることを意味している。つまり、管理業務だけではなく、マネジメントを自分たちがやる必要のない時代に移り変ろうとしているのだ。
今は、「問題解決」よりも「問題発掘」が大切だと言われることがしばしばある。0から1を生み出せる人、起業家精神が必要、ビジネスディペロップスキルが必要、これらも総じておんなじ意味だ。
私たちが社会に出る少し前ぐらいから、「言われたことを愚直にこなうような人」の価値はおそらくかなり低下していたこともあって、近年は課題解決能力を求められる機会が社会的に増えていたことも原因の一つだろう。
もちろん、ITの成長で、単価の安い海外の人たちが日本人よりもはるかに優秀になったことも一因だし、AI技術の登場による、今までは問題解決能力を生業にしてきた医師や弁護士などの職業の地位が脅かされていることも背景にはあるはず。
将来、管理職になって、承認印を押すだけの仕事生活を楽しみにしている人は残念だろうけど、大人になる頃にはほとんどの人がプレーヤーであり続けなければならない時代がくるかもしれない。個人的にはそっちの方がいいかなと思うけど。