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そして今日も考える。

スマホの基本料金が高い件

なんか知らないうちに携帯の基本料金が高くなったと思いませんか。三大キャリアのスマホ基本料金はパケホーダイを合わせると6000円近い金額になります。今時、パケットを定額制にしていないのは年配の方ぐらいでしょう。つまり、コンスタントに毎月6000円、さらにメール受信料、通話料などがプラスされるわけです。携帯代は毎月1万円ぐらいという認識の人が多いのではないかと思います。

 

 

一方で、通信手段という面では、Skypeをはじめ、LINEやViberなどのアプリの登場により、パケット料金のみで(つまり実質無料で)連絡を取ることができるようになりました。これらの企業は通信キャリアと違い、サービスの利用料は搾取しないので、無駄な通信費を抑えることができます。今では、メールよりもLINEを連絡手段に使っている人の方が多いでしょう。電話はまだ音質が悪いですが、この先どのように進化していくかはわかりません。

 

 

通信サービスが、民間企業から登場すれば、ますます携帯料金は、基本料金の値段に収束していきます。これは携帯の利用者である我々にとってはとてもありがたいことです。しかし、実はちょっとした危険性もはらんでいます。

 

 

率直に言うと、基本料金が値上げされる恐れがある、ということです。通信キャリアは長らく寡占状態にあります。電力会社などのインフラサービスは基本的に寡占状態、すなわち少ない数の企業のみがサービスを展開しているのです。これは何を意味するのでしょうか。

 

 

極端な例として、独占状態であると考えてみましょう。独占状態でインフラサービスを提供している場合、その企業が極端な値上げをしたとしましょう。すると、我々はそのサービスがないと生活できないので、どんなに法外な値段を請求されても払うしかない状況に陥ってしまうわけです。ちなみに独占禁止法により、独占は禁止されています。競合他社が存在することで、不当な価格設定ができないように寡占状態で事業が行われているのです。

 

 

しかし、寡占状態といっても競合が少ないため、全社で一気に価格をひき上げることもそれほど難しくありません。3社ともに価格を上げるなら、事実上独占状態と変わりありません。スマホが普及して基本料金が高くなったのも、通信キャリア側の都合によるところが大きいと思っています。

 

 

我々が通信キャリアが提供するサービスを使う代わりにLINEなどの無料アプリを使うことにより、通信キャリアの収益は確実に低減します。するとその穴を埋めるために基本料金を上げることが比較的簡単にできてしまうのです。原発事故の後、電力会社の料金が一気に引き上げられるという案に批判が沸き起こりましたが、料金が挙げられても使うしかないのです。

 

 

こういった状況を避けるには、通信事業の障壁を完全にとっぱらうしかありません。しかし、インフラサービスは無くなると生活に多大な影響を及ぼしうる可能性があります。例えば、今LINEが経営破綻に陥ったとしても、多くの人は少し困るぐらいですが、通信キャリアが全社破綻してしまえば、生活に大きな支障をきたすでしょう。そのため、実質的には公共事業と同じように位置づけられており、参入障壁が高いのです。

 

 

しかし、よく考えてみると、国がわざわざ守る必要があるのか、についてはやや疑問もあります。本当に必要なサービスであれば、利用する人が多いので経営が破綻するとは考えにくいし、経営が破綻するくらいなら、必要とする人がいないということで、じゃあそもそもそれはインフラサービスではなかったんじゃないか、と考えることもできます。

 

 

 

ただ、ここには落とし穴もあります。例えば、LINEアプリは今や多くの人が使っています。しかし、多くの人が必要としているにも関わらず、経営破綻のリスクが存在します。なぜなら、ユーザーが本当に必要としているサービス自体が無料で提供されてしまっているからです。実際、ITサービスのほとんどは、多くの人にとって本当に役に立つものが無料で、半ば娯楽としての追加機能や、他企業の広告料が収益源になっています。

 

 

こういった流れを見ていると、通信サービスが完全に民営化されるのは難しそうです。無料のサービスが生まれる裏側で、必要のないものにお金をかけなければならないこともこの先増えていく、あるいはすでに増えているのかもしれません。