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そして今日も考える。

パチンコに学ぶ掛け捨ての心構え

いきなりですが、この世のほとんどのモノは掛け捨てです。努力も掛け捨て、愛情も掛け捨て、友情も掛け捨て、金も掛け捨て。どれだけ努力しても成果が出るとは限らず、どれだけ愛を注いでも実るわけではない。友人をどれだけ大切にしても、その友人がいつまで友人でいてくれるかは定かではないし、お金をどれだけかけたからといって、優秀な子供に育つわけではない。人生そんなもんです。究極的には人生そのものが掛け捨てです。

 

でも、たまーにうまくいくこともあります。1番掛け捨てになるものが多いパチンコですら、10回行けば1回は勝てます。プラスになった時点で即ヤメすれば、の話ですが。もちろん、トータルで財布に残るお金は間違いなく減っているでしょうが。

 

そんなわけで、パチンコなんてお金の無駄、というのは良識のある人にはよく言われます。私自身、パチンコなんてお金の無駄だと思いつつもパチンコやに通っていたことがあります。確かに無駄です。ほとんど得るものはありません。でも、やる前からパチンコなんて無駄だと考えている人には、たぶんパチンコを打つことで学べることもあるんじゃないかと思います。

 

それが掛け捨ての心構えです。無駄になったけどまぁいいや、と割り切る力です。こんな私も、初めてパチンコに行ったときに、千円冊の無くなるスピードに驚愕したのを覚えています。そこには罪悪感とも焦燥感とも言える気持ちがありました。なんてもったいない、という気持ちしかなかったのです。多かれ少なかれ、最初はみんなそんな気持ちだと思います。

 

でも、みんななぜかパチンコをするようになります。幸か不幸か、初めてのパチンコでは、なぜか多くの人が勝ってしまうのです。ビギナーズラックというやつですか。私も最初に5万ほど勝ちました。もちろん、最初に負けたせいでムキになってしまう人もいます。

 

確率が低いことがわかっていても、掛けたものが返ってきた実体験を持っている人は、そうでない人に比べて「掛ける」ことに対する心構えが変わります。少なくとも、パチンコなんてお金の無駄だと考えている人にとっては、「掛ける」=「捨てる」を意味しますが、パチンコによって多額のお金を得たことのある人にとっては、「掛ける」=「可能性を手にする」ことを意味します。

 

もちろん、ここをはき違えて、「掛ける」=「お金が増える」と解釈してしまった人はギャンブル依存症になってしまうので、注意は必要です。しかし、少なくとも、掛けたことのない人に比べて、掛けることに対してポジティブな感情を抱いています。

 

一方で、パチンコを打ったことのない人にとって、掛けることはあまりポジティブなことではありません。だってどうせ何も手に入らないじゃんと。実体験を持たないため、可能性があまりに低すぎて胡散臭く映るわけです。

 

こういう考え方は、失敗知らずのエリートに多いです。自分の今までの成功にほとんど運は関係なく、自分の実力で切り開いてきたと固く信じているのでしょう。だから可能性の低いことには挑戦しません。

 

でもそれだと行動の幅はすごく狭くなります。当然、得られるものの幅ももちろん狭くなります。もちろん、絶対に今失ってはいけないものを掛け捨てにする必要はありませんが、努力やお金を投資的に捉えて、可能性の低いことにも書ける心構えを持っていることは非常に大切です。

 

昨年、イチローが4000本安打を達成した時の記者会見でこんな発言をしていたのが今でも記憶に残っています。

これからも失敗をいっぱい重ねていって、たまに上手く行ってという繰り返しだと思うんですよね。何かを、バッティングとは何か、野球とは何か、ということをほんの少しでも知ることが出来る瞬間というのは、きっと上手く行かなかった時間とどう自分が対峙するかによるものだと思うので、なかなか上手く行かないことと向き合うことはしんどいですけど、これからもそれを続けていくことだと思います。(日米通算4000本安打達成のイチローが会見より)

 超一流の野球選手として崇められているイチローですら、野球のプロセスを「失敗をいっぱい重ねて、たまに上手くいく」という繰り返しだと考えているんですね。そういう半ば冷めた心構えを持った上で、野球を続けているわけです。そういった心構えがあったからこそ愚直な継続を可能にし、結果に結びついたと考えることができます。また、イチローはこうも語っています。

これは、アマチュアで楽しく野球をやっていれば、いいことばっか残る。でも、楽しいだけだと思うんですよね。コレはどの世界も同じこと。皆さんも同じだと思うんですよね。そのストレスを抱えた中で、瞬間的に喜びが訪れる、そしてはかなく消えていく、見たいな。それが、プロの世界の醍醐味でもあると思うんですけど、もっと楽しい記憶が残ったらいいのになあというふうに常に思っていますけど、きっとないんだろうなあと思います。

イチローの発言からは、ただ単に楽しいの先にあるものを得たい、という気持ちがうかがえます。そして、これをパチプロ風に言い換えても、それらしくなります。

これは、0.5円パチンコで楽しくパチンコをやっていれば、いいことばっか残る。でも、楽しいだけだと思うんですよね。コレはどのホールでも同じこと。皆さんも同じだと思うんですよ。そのストレスを抱えた中で、瞬間的に出玉が放出される、そしてはかなく消えていく、みたいな。それが、ギャンブルの醍醐味でもあると思うんですけど、もっと楽しい記憶が残ったらいいのになあというふうに常に思っていますけど、きっとないんだろうなあと思います。

おそらく、ギャンブルにハマっている人はこんな心持ちです笑。社会的地位に違いがありすぎるため、一般的に受け入れがたい事実ではありますが、実は本質的にプロの心構えに近いものがあるんです。異なる点があるとすれば、努力を掛け捨てにするのかお金を掛け捨てにするのかの違いです。掛け捨ての心構えを学ぶためと考えれば、パチンコもただの道楽では無くなります。ただ、そんな綺麗事を言い訳にハマってしまわないように。