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そして今日も考える。

エレベーターにもイノベーションを

電車の区分には急行や特急などがある。私が地元で利用していた電鉄では、急行や特急に対して、普通という区分が合った。そのため、子供の頃は普通よりも急行、吸光よりも特急の方が電車のスピードが速いのだろうとずっと思っていた。

 

実際には誰もが知っているように、急行と特急の違いは停止する駅が多いか少ないかである。決して電車のスピード自体に違いがあるわけではない(もちろん、結果的に最大瞬間速度は特急の方が速いという可能性はある)。速さではなく(最終目的地に到着する)早さによる区分の違いなのだ。

 

車についても同じようなことが言える。例えば、高速道路に乗ると早く目的地にたどり着くことができる。これは高速道路では制限速度が比較的高いため、というのも理由の1つであるが、本質的には信号がないためである。ノンストップで進むのが一番早いし、一番速いのだ。

 

そう考えると、エレベーターなどについても未だに上昇スピードを上げようとする動きが主流となっているのはナンセンスである。今以上の早さを求めるのであれば、考えるべきなのはスピードを上げることではなく、いかに無駄な停止を無くすか、ではないかと思う。

 

高層ビルのエレベータを利用していると、階段で降りたほうが速いんじゃないかと思う時がある。もちろん、通常時は快適に乗ることができる。しかし、朝の通勤ラッシュ時やお昼休み時は大変だ。

 

上の方の階ですでに満員になっているにも関わらず、各階で停止ボタンが押されていると馬鹿正直に停止する。電車でいうところの各停状態だ。そして、止まったはいいが、既に満員のため、結局人の乗り降りは発生しない。一体何のために停止してるんだろう。

 

この問題に対しては、例えば、エレベーターの許容重量と実際にエレベーターで測定される重量の差が30kg未満の時は停止しない、といった制御をすればいいだけではないだろうか。素人の考えではあるが、エレベーターの速度を速くするよりもよっぽど簡単に実現できるし、その方がエレベーターの早さも向上すると思う。

 

まぁ誰でも思いつきそうな発想なので、むしろ未だに実現されていない理由を知りたいぐらいだ。もしかすると、重量センサーの精度など技術的な課題があるのかもしれない。しかし技術的な課題があればなおさら、ただ単に速くするよりよっぽど価値のあるイノベーションになると個人的には思う。

 

シーズありきで商品開発を行えば、スピードしか上がらない。でもニーズありきで商品開発を行えば、そもそもスピードを速くする目的(速く目的地に到着したい)を実現することができる。そういうもんじゃないですか。