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そして今日も考える。

ゼネコン体質のリアル

新人の仕事と言えば、基本的には雑用である。電話対応はもちろんのこと、荷物の受け取り、物品の購入手続きなど数えればキリがないだろう。私の場合は、その中に協働者さん、いわゆるビジネスパートナーの受け入れなどが含まれる。

 

協働者たちのためにパソコンを準備するのはもちろんだが、セットアップなどについても支援する必要がある。最近はようやく慣れてきたが、これが結構面倒なのだ。マニュアル通りにやっているはずなのに、必ず途中でトラブルが起こる。一応IT企業の、それもそこそこ経験を積んだ人たちのはずだが、セットアップに躓いてしまうのだ。初見で私に対応できるようなエラーなどほとんどない。

 

とは言え、私の稼働なんかよりもビジネスパートナーの稼働は非常に重要なわけで、私が一つ一つ原因を調べ対処していくのが常である。そうやって色んなことに対処していくと、今度は通常業務についての質問などもされるようになってきた。

 

これに関してははっきり言って憶測でモノを言うくらいしかできない。彼らの方がシステム開発についての理解があるし経験も豊富だ。しかし、彼らから見れば、こんな新入社員の私でも自分よりも上の立場という認識があるのかもしれない。

 

ITゼネコンという言葉があるように、基本的に私たちの仕事は階層構造になっている。我々プライマリーコントラクターが仕事を受注し、そしてその仕事を複数の協力会社に委託する。すると、その委託先はさらにまた別の委託先に委託する構造が今や一般的になっているのだ。

 

実際、今私が配属されているプロジェクトに協力しているのは表面上A社とB社であるが、A社の中には、A社からさらに委託されたC社とD社の社員がいたり、B社の中にはB社からさらに委託されたE社の社員がいて、そして、E社のさらに委託先のF社の社員がいる、という状況である。

 

もちろん階層構造になっているからといってどちらが偉いとかそういうわけではない。単なる役割の違いなのだ。しかしながら、金銭面という軸で比較した時、末端に行けば行くほどマージンが発生するので、不当な扱いを受けているのは間違いないであろう。そして、皮肉なものに、末端に近づく人ほど、システムについて詳しい有識者だったりする。

 

こういった構図の中に身を置いていると、プログラマーこそ営業力が必要なのだろうな、と思う。彼らは秀でた能力を持ちながらも、結局それをビジネスの観点で活かしきれていないために少ない報酬で満足するしか無いのだ。もし、自分で仕事を受注することができるのであれば、我々みたいなマネジメントが主体の会社の存在意義はなくなる。末端で貢献してくれる人たちのためにも、階層の上に立つ私たちが今の状況に甘んじていてはいけないと思う。