∑考=人

そして今日も考える。

就活生が若手社員の話を活用するために

来年度から採用の時期が遅くなるみたいで、今ぐらいの時期から就職活動がちょこちょこ始まるみたいです。というわけで、入社して1年を迎えた私のところにも採用活動への協力要請が届きました。

 

こういう採用活動って意外と人気があるんですね。それこそ若手社員の半分以上はやりたい、と思ってるんじゃないでしょうか。でも私なんかはあんまり採用活動に参加したいとは思わないんですよね。いや、そこそこ楽しいだろうなーとは思いますよ。

 

でもそれが自分にとって良い経験になるとかはあんまり思いませんね。もちろん、将来的に人事部で働きたい、とかならまだ意味あるのかもしれないけど、そうじゃないなら普通に仕事している方が成長できるんじゃないかな、と。というか私は少なくとも今は普通に仕事しときたい。

 

そもそもほとんどの人にとって、こういう活動の楽しさの本質がどこにあるのかというと、「自分が弱い立場の人を前にして偉そうにできる」ことなんですよね。学生から見れば、実際に働いた経験のある若手社員の言うことでさえ絶対的な力を力を持つわけです。少なくとも採用された実績があり、実際に1年間働いた経験があるわけですし。さらに上の人が聞けば笑えるような話でも、学生はマジメな顔をして相槌をうってくれるので悪い気はしませんよね。

 

で、「自分が弱い立場の人の前に偉そうなことを言う」のが好きな人は通称「意識高い系」と呼ばれる人達です。なので、業務よりの話よりもマインド論とか行動論などの抽象的な話になることは間違いないでしょう。まぁ私が採用活動するとしてもたぶんそんな話になってしまいますし、今私が書いているこのブログもある意味上記に該当しているのかもしれませんが。

 

就職活動をしていて、色んな人に沢山話を聞いたのに、結局のところどういう会社なのか、どんな仕事をしているのかよくわからなかったな、と感じることは多々あると思います。が、これは学生に落ち度があるわけではなく、話を伝える側が適切な抽象度の話を展開できていないためです。

 

更に言うと、私の就活の経験では、どこの企業の社員交流会のプログラムはほぼ同じです。まず、数名の若手社員が自分たちのプロジェクトについて説明して、その後、質問を受け付ける、みたいな感じです。

 

ただ、この方法には非常に大きな問題があります。それは、プロジェクトの全体像しか把握できないことです。つまりその社員が1年間どんな仕事をしてきたかがほとんどわからないんです。せいぜい役割と工程ぐらいです。

 

でも学生側が興味あるのって、実際に普段どんな仕事をしているのか、だと思うんですよね。少なくとも学生の段階で、こんなプロジェクトをしたい、みたいに固まっている人ってほとんどいないと思います。せいぜいコーディングがしたいとか、企画がやりたい、ぐらいでしょう。

 

だからこそ、せっかく若手社員が採用活動に参加するのであれば、自分がまだそんなに理解できていないプロジェクトの話ではなく、入ってからどんな仕事をしたのか、特に新入社員の時にどんな仕事をしてきたのか、を本来は伝えるべきなんでしょうね。

 

しかしながら、若手社員からの説明がそんな風になることはないでしょう。そもそも説明会のプログラムとか説明する内容については会社の上の方の人達が決めちゃってるはずですから。

 

以上のことを学生側は理解した上で、若手社員(もちろん若手以上の社員)と交流をしないと、結局会社のことは何もわからないまま、HPなどから感じられる企業イメージのまま就職を決めることになってしまいます。まぁ将来的に働くなら、ぶっちゃけ若手社員の話なんて何にもあてにならないけど。

 

というわけで、就活生が最大限に仕事を理解できるためのたった一つの質問をお教えします。それは「この1年間で作成した成果物はどんなものですか?」です。多分学生の頃は「成果物」という言葉に馴染みがないため、こんな質門はなかなか思い浮かばないものです。ですが、社会人は当たり前に使います。

 

そして一口に仕事といっても、どんな仕事なのかは部署や職種によっても千差万別です。ですが、共通していることがあります。それは何らかの形を生み出しているということです。そして、仕事により生まれる形あるものが成果物です。逆に言えば、成果物を作ることが仕事なのです。(もちろんこれは形式上の話ですが。)

 

なので、その人が1年間を通して、どんな成果物を作ってきたのかという事例をいくつか知れば、その人の仕事内容は概ねわかります。単純に「設計書」などと返答されてもイメージがわかなければ理解できるレベルまで掘り下げていくべきです。今さらながら感じますが、私が学生の頃に考えていた設計書と社会人になった設計書では、天と地ほど齟齬があったものです。

 

あとは、業務以外の点で、働いてみてどんな風に感じたのか、とかは参考にしてもいいかもしれません。私はそもそも同世代でも考え方が異なる人がたくさんいるので、あまり参考にはしませんでしたが、基本的に世代が近い人の価値観は参考になるところがあります。どんな業務なのかという説明には至らないところがあるかもしれませんが、働いてみてどうなのかという感情面については、強ち間違っていないかもしれません。ご参考までに。