∑考=人

そして今日も考える。

現代の仕事のほとんどは娯楽

タイトルの言葉はホリえもんの言葉であり、私が思っていることでもある。一部の地域におけるインフラ系ビジネスや医療ビジネスを除き、現代の仕事のほとんどは娯楽なのである。よく、ビジネスマンは自分たちの仕事が止まることによりとてつもなく他人に被害を与えてしまうと考えているが、本質的にはそうではない。

 

もちろん、自分たちの仕事が止まれば、お客さんには迷惑がかかることになるだろう。もう少し具体的に言えば、お客さんのビジネスに対して迷惑がかかるということである。しかし、ここで疑問が生じる。お客さんのビジネスが成功することは果たしてそんなに重大なことなのだろうか。(決してこんなことを社会で口にしてはいけないが。)

 

お客さんのビジネスが上手くいかないと、お客さんのお客さんにも迷惑がかかる。それも大抵の場合は、お客さんのお客さんのビジネスに迷惑がかかる、というものである。とは言え、この論理を繰返していくと、どんなビジネスも最終的には消費者に対して迷惑をかけることになる。消費者とはビジネスにおけるゴール地点だからだ。

 

さて。では消費者が本当に被害を被っているのか、である。例えば、直接消費者に某スマホ系アプリを提供している会社が急に仕事を止めたとしよう。本当に消費者に被害を与えることになるだろうか。もちろん、使えなくて残念、と思う人は沢山いるだろう。きっと腹を立てる人もいる。でも生活ができなくなることはないはずだ。つまり影響範囲は確かに大きいのかもしれないが、深刻な被害を与えることには繋がらない。

 

もちろん、ゲーム系ビジネスは娯楽色が強いので当然だ、と思われる人もいるかもしれない。では、例えばもっと人間の生命に関わりそうな食品を提供しているコンビニを例に取ってみよう。明日になっていきなり全国のローソンが全て潰れたとしよう。私たちは生命の危機に晒されるだろうか。晒されない。せいぜい、ちょっと遠くまで歩いて別のコンビニに行かないといけないなぁ、とか、ゲンコツメンチ食べられなくて残念だな、ぐらいだ。

 

今ではインフラと称される銀行についても同様である。銀行系システムはミッションクリティカルと呼ばれ、影響度が大きく絶対に稼働を止めてはならないシステムだと言われている。ただ、それが止まるとどうしてマズいのかの一番の原因は、商取引が成立しなくなるからである。ビジネスの成功を絶対的正として位置付けているために銀行系システムが止まることが大問題となるわけである。

 

また、銀行系のシステムが一つ止まった所で別の銀行からお金を下ろすことだってできるので、これもやはり消費者的にはちょっと多く手数料を払わなくちゃいけないなぁ、ぐらいのものである。ビジネスの成功こそが重大という考えを抜きにすれば、消費者的にはそれほど困らないのである。そして、ビジネスの成功が最終的にどこに繋がっているのかというと、消費者なのである。実に面白い矛盾だ。

 

これは考えてみれば当然である。科学技術の進歩のおかげで、ないと困るものは大量に自動で生産されるし、ないと困るサービスは無人でもできるようになっている。最近では、無くても困らないただの娯楽でしか無いサービスですら無料で提供されているのである。そして何より、消費者のほとんどは自覚を失っているだけで、ほとんどのお金を娯楽に使っている。消費者のスタンスがこうなのだから仕事だって娯楽化していくのは当然の摂理なのである。

 

だから自分の仕事にプレッシャーを感じることなど何もない。娯楽なのだから楽しくやるべきだ。お客さんの喜ぶを見るのも娯楽だし、消費者に価値を提供するのも娯楽だ。幸か不幸か自分の仕事が消滅しても代わりなどいくらでもあるのである。

 

ただはっきり言おう。自分のビジネスが止まると自分が困る。ビジネス過当競争の世界で、自分だけが脱落してしまうと、自分だけが被害を被ることになるのだ。これも命まで取られるわけではないが、経済的な損失は非常に大きい。他人に迷惑は対してかからないが、自分には迷惑がかかる、だからほどほどに頑張ろう。このぐらいのスタンスでいいと思う。