∑考=人

そして今日も考える。

こんな上司や先輩には気をつけろ

あなたは一緒に仕事をする自分の先輩や上司に何を望むだろうか。 的確に指示を出して欲しいとか、ある程度自分に任せて欲しいとか、人によりけりだとは思う。

 

ただ、残念なことに部下の期待が様々であるように、上司の特性も当然様々である。そして、組織に入る以上は上司や先輩のタイプを自ら選ぶことはできない。そもそも自分にはどういう先輩や上司が向いているのかさえよくわからない、といった人もいるのではないだろうか。

 

個人的には、何のための仕事で、どんな成果物を作る必要があるのか、そしてインプットとなる情報は何かさえ教えてもらえれば、後はあんまり干渉されたくないと思っている。要するに「裁量」があった方が良いということだ。

 

ただ、自分の上司は裁量を与えるタイプなのか与えないタイプなのか、という一つの軸だけで考えていると、仕事を進める上で面倒になることも多い。そこで、私は「裁量を与える」という状態を少し掘り下げて「指示」と「決定権」の二つの観点から下記のような上司の分類を考えてみた。

上司タイプ

 

指示が曖昧

指示が的確

決定権を委ねる

Aタイプ

Bタイプ

決定権を握る

Cタイプ

Dタイプ

 

上の表において、左上(Aタイプ)がもっとも裁量があり、右下(Dタイプ)へ行くほど裁量が小さい。なので、「裁量」という一つの軸で考えてしまうと、ほとんどの人はAかDの二択で分類してしまっているのでは?というのが私の仮説である。追ってそれぞれのタイプを説明しよう。

 

▪️最も自由なAタイプ

まず、わかりやすいAタイプとDタイプから。Aタイプの上司を持つと、最も自由に仕事ができる。反面、あまり能力がない人がこの上司にぶつかると、「何をやればいいかわからない状態」になる。ただ、始めからAタイプの上司や先輩のもとで働くことはない、と断言しても良い。もしそんな先輩がいるとしたら監督能力ゼロの無能社員である。

 

Aタイプの振る舞いは基本的に部下の能力を評価、信頼していなければできない。部下にとって、先輩や上司をAタイプへ変貌させることが一つのゴールだと私は思う。

 

課長とか部長クラスの立場の離れた上司はだいたいこうで、細かい指示も出さなければ、成果物も細かくチェックしない。なぜなら、あなたと課長の間にいる先輩が何とかすると考えているからだ。逆にいうと、あなたの仕事の価値を高める上ではあまり助けにはならない、ということでもある。

 

▪️家庭教師Dタイプ

Dタイプの上司は最も不自由である。仕事のやり方も決めつけられ、わからないことがあったら、すぐ報告・相談を求められる。試行錯誤の余地も小さく、ただただ自分が作業員でしかないと痛感させられるだろう。

 

ただ、このタイプの先輩や上司も基本的には存在しない。せいぜい会社に入って数ヶ月の新入社員期間限定で現れたりするぐらいだ。誰にもメリットがないので、もしこんな先輩に付きまとわれているなら、さっさと仕事を覚えて信頼を勝ち取ろう。

 

▪️実は最も理想的なBタイプ

Bタイプの先輩を持つと仕事がやりやすい、と個人的には思っている。要点については的確な指示を出し、あとは任せてもらえる。先輩としては、重要な点は伝えてあるので、その部分の要件さえクリアしていれば、多少プロセスや成果物に問題があっても大きな仕事の後戻りにはならない。

 

仕事を受け取る側としても、何をやらなければならないかの全体像は把握しやすいので、何から始めて良いかわからない、といった状態にはならない。その上、細かい部分については自分で考えたり、調査したりと工夫を凝らす余地がある。

 

これがあるかないかで、本人がやっているものが「作業」なのか「仕事」なのかのモチベーションにもつながると思う。Aタイプに比べると自由度は劣るが、正解らしきものが欲しい人にとっては最も理想となる上司だと思う。ただ、こういう上司や先輩も絶対数としてはそれほど多くない。

 

▪️要注意のCタイプ

Cタイプが最も危険である。このタイプの上司を持った部下は苦労する。指示は曖昧だが、決定権は持ちたがるタイプである。指示の抽象度だけではかれば裁量を与えてくれているように勘違いしてしまうが、決定権を委ねているわけではないので、実際には裁量は小さい。

 

例えば、Cタイプの先輩を持つとこんな問題が発生する。

 

Cタイプの先輩:「ここのプログラムの再試験やっといて。前にやった試験項目があるから参考に。」

私:「了解です。」

 

試験完了から数日後…

 

Cタイプの先輩:「この間の試験項目間違ってない?」

私:「参考にした過去の試験項目と同じです。」

Cタイプの先輩:「じゃあその部分直してもう一回やり直そうか。」

私:「はい…。」

Cタイプの先輩:「あと、ここの手順もこういうやり方の方が良いと思うから修正しといて。」

私:「…」

 

こんな風に裁量があるつもりで行動する、と手戻りが発生する。だからこそ、事前に細部まで確認合意しておくことが求められる。スコープは?品質のレベルは?参考資料の妥当性の確認方法は?いつまでに?などなど。あとは作業途中で段階的にチェックしてもらう、というのも一つである。これも手戻りを防ぐ方法ではある。が、こういった仕事のやり方は非常に窮屈に感じるので、対策を打つか打たないかは自由意志に任せるとする。

 

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もう一度、上司タイプを見返して欲しい。実は上司のタイプはあなたの行動によって変えられるものと変えられないものがある。指示の的確さはあなたが成長すれば曖昧になっていく。逆にあなたの理解度が浅いと感じたら、かなり的確に指示を出してくる。

 

しかしながら、先輩や上司が持つ決定権についてはあなたの行動で変えることは難しい。というのも、先輩や上司の役職・権限などに依存する部分が大きいからだ。また、生まれもった性格によって、自分で決めたい、人に決めてもらいたい、などの価値観にも依存する。

 

よって、必然的にあなたが成長すると、あなたの上司はAタイプかCタイプということになるだろう。だからこそ、Cタイプへの対処法は早めに理解しておくことをお勧めする。