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そして今日も考える。

新規事業を考えて虚しくなった話

今私の担当では新規事業の立ち上げに向けて少しずつ検討を開始している。背景としては、お客さんの事業・業界がシュリンクしているため、別の業界を相手に新しい事業を生み出すことを視野に入れている、といった感じだ。

 

私の会社はまぁ正直業界ではそれなりのブランド力を持っている、と思う。だから、社内を探せば提案するためのパイプは何かしらあったりするし、新規で営業活動をしても話ぐらいは聞いてくれるお客さんはいる。

 

また、お客さんの課題を解決するためのソリューションは社内にたくさんあるので、そこをマッチングさせることで利益を上げようとする、というのが基本的な方針である。皮肉な言い方をすると、転売活動である。

 

でも、こういった活動はほとんどが失敗する。仮に受注までたどり着いたとしても、直接的な開発を請け負うのが自分たちの担当という形になることはない。なぜか。マッチングさせるところで我々は役割を終えてしまうからだ。

 

もちろん、我々はそうではないと主張するだろう。マネジメント力で貢献します、と。別の会社と競争しているのであれば、それでも良いのかもしれない。ただ、同じマネジメントを強みとしている会社の中で争うのであれば、マネジメント力は大した強みにはならない。別にあなた方にお願いしなくてもうちでやりますよ、という話になるのが自然だろう。

 

では、技術力を生かすのは?新しい技術を使っていたり、既に確立したソリューションがあれば、その経験・ノウハウを生かすことはできる。しかし、そういう開発経験がないとどうなるか。結局、他で生かすための開発力がないので貢献のしようがない。そもそも技術を生かせないから、外部とのマッチングでプロフィット化を目指す方向に進むしか選択肢がないのである。

 

うちの会社は基本的にはお客さんとかその業界単位で部署が縦割りになっている。なので、自分たちと他の担当を分けている最大の強みは自分たちだけの顧客を持っているところにあるのだ。つまり、別の顧客を探すという行為は、自分たちの最大の強みを捨てるのに等しい。そんな強みを失った組織が、他者を利用したビジネスをして、自分たちの利益が多くなるように計らうなんて、都合が良過ぎないだろうか。到底うまくいくとは思えない。

 

などと考えていると、希望であるはずの新規事業を考えても虚しくなってくるだけであった。