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そして今日も考える。

地方創生のカギは

まだ、人増えるのか、東京。

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都会への人口一極集中が目立っている。福岡を除けば転入が転出よりも多いのはほとんどが東京、もしくはその近隣の都道府県という結果だ。私もつい数年前に上京して来た身ではあるけど、これ以上東京に人は増えてほしくないと思ったり。

 

まぁなんでこんなに東京に人が集まるんや?という一番の原因はやっぱり東京に仕事がたくさんあるから。東京への憧れ〜とか、都会は便利〜とかももちろんあるんだろうけど、昔ほど東京に拘る必要もないご時世じゃないだろうか。私も大阪と京都で暮らしてたけど、別に東京の方がすこぶる便利とも面白いスポットがたくさんあるともあんまり感じていない。

 

じゃあそんな私がなんで東京に来たのかっていうと、たまたま行こうと思った今の会社が東京にあっただけで、それ以上でも以下でもない。というわけで、一般的に見ても、仕事の数がキーファクターなのかなと。

 

そもそも桁違いに新卒を採用しているような大きい会社はやっぱり東京に本社を構えているのが普通で、その求人数のうちほとんどが本社勤務になる。と考えれば、少なくとも、大企業の採用人数の合計値の5〜7割ぐらいは東京に流れ込む計算になるのだ。ざっくり毎年300人ぐらい採用する会社が東京に100社ぐらいあるとすると、それだけでも2万人ぐらい。意外と全体の2割しか占めていないのが引っかかるけれど。残りの層もやっぱり仕事目当てなんだろうか。

 

こういう背景もあって、最近はやたらと「地方創生」というキーワードを聞くようになった。要は、東京ばかりに人を流出させるのではなく、地方の人たちを増やしましょう、ということだ。増やすために何をやるのかは大きくは2つ、地方で育った人が地方に留まるようにする、都心部から地方に来る人を増やす、というのが私の理解。

 

でも、なんで地方の人を増やさなくちゃいけないのか。この点はちゃんと説明されているのかね。

 

一般的な意見を要約すると、「地方に住んでいる人が困るから」という理屈みたい。そりゃ困るでしょ。地方に人がいなくなるということはそこに市場としての魅力がなくなるということ。例えば、コンビニを設置しようとしても商品が売れない、利益が出ない。そんな状況が続くとどうなるか。企業としては撤退せざるを得ない。

 

すると、ますます不便になって、人がより便利な都会へ移り、さらにビジネスは縮小し、と負のスパイラルが生まれることはもちろん、新しい価値を創造していく人たちすらいなくなってしまい、詰んでしまう、というわけ。残った人は否応無しに生活水準の高い都会に行かざるを得ない、という現象が起こる(というか既に起こりつつある)。

 

上記のようなことをマズいと政府は判断しているわけだが、これって実はビジネスとは対極にある考え方。つまり、ビジネス的に考えるとマズいとも言い難いのだ。

 

ビジネス思考で合理的に考えると、地方の人がいなくなった方が実は効率的だし、物流コストも移動コストも下がる。人の数に比例してイノベーションの起こりやすさも上がるので、ビジネス的には良いことの方が多い。そして、何よりビジネス思考では、弱者が淘汰されることで全体としての価値は上がるという思想が根底にあるので、衰退は仕方のないことだという割り切りがある。

 

一方で、地方創生を考える人は全く合理的ではない。(別に合理的じゃないことが悪いと言いたいわけではなく。)例えば、地方特有の文化がなくなってしまうことを懸念する声もあるけど、単純に「文化に触れたい人」よりも「生きるために仕事をしたい人」の方が多いという結果が現代社会なのだ。

 

つまり、文化に価値を感じている人って割合で言うとそんなに多くないってことでは?という話。資本主義が加速する中で昔のようなゆとりは持てなくなってきているのだ。文化はなくても困らないけど、仕事はないと困る。

 

ってなわけで、地方ならではの産業創出を支援する施策なんかが進められているみたいだが、正直に行って地方単体で創出する産業が東京に勝てるとは到底思えない。まず情報量が違うし、スピード感も違う。東京のフィールドで地方が戦うのはどう考えても難しいんじゃないだろうか。

 

ではどうすべきなのか。

 

地方が何をすべきなのかは一旦脇に置いておくと、私が地方創生にとってもっとも良い対策と考えているのは、「超大企業が地方に移転すること」である。なぜなら、上述の通り、結局は企業の求人数によって大方の人口は決まるから。例えば、大企業だと、本社が移るだけでも、数千人、下手すれば1万人規模の人たちが地方に転入することになる。

 

もし、デカい会社が「来年から本社を地方に移します」という宣言をすれば、それをビジネスチャンスと捉える企業群は確実に存在する。周辺に食べるところがないのであれば、レストランを出店しようとか、そもそも住むところがないから都市開発を進めようとか。そうすると、それらの将来の市場に群がる人たちも地方に移ることになる。企業に群がって人が東京へ行くのだから、企業を地方へ移せばいい。というのが私の答え。

 

ネックなのは、どの会社も本社を地方に移さない、というところにある。少なくとも今時点では高い土地代を払っても、やはり会社は都会にあった方がメリットが大きいのだ。

 

しかし、これを進める一つのポイントになるのが、これまた注目を浴びているリモートワークという働き方である。これが今よりはるかに進むと、「本社を東京におく意味あるのか?」ということに疑問を持つ人は確実に増える。

 

どのくらい進めば良いのか。というと、対面の打ち合わせが完全になくなるレベルだ。会議は全てテレビ会議、仕事の指示はメール、ライン、スカイプ、スラックなどのツール。「もう対面で一緒に仕事をする必要がない」という実績が積み重なれば確実にそうなる。

 

地方としては大企業でリモートワークが推進されるのをただひたすら待つしかないのか。逆に大企業の動きを逆手に取れるのが一番理想的だと私は思う。つまりは、地方発信でこういったリモートワークの仕組みを構築するのだ。

 

理論的にはできないことはない。今やネットワークで全世界と簡単につながることができるわけだし。北海道が青森と協力してもいいし、大分と協力してもいい。地方単体では数の利で完全に東京に及ばないが、複数の地方が連携できれば、それほどイノベーションの質は遜色ないレベルに引き上げられるのでは。

 

地方に仕事を創るのであれば、今の便利すぎる東京ではできない、地方だからやらざるを得ない新しい働き方の叩き台を創ってほしいと私は思う。