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そして今日も考える。

DX時代のプログラマー

今、SIer業界はデジタルトランスフォーメーション(DX)の流れを受けて、ビジネスモデルの変革を余儀なくされている。では、どういった変革が必要になるのか。

 

これまでは、何となくお客さんの要望を聞いて、開発を受託できればそれで売上をあげることができた。プライムコントラクターの立場からすると、なるべく大きい開発案件を受注して、多くのベンダを雇って、マネジメントをすれば良い。

 

リスクマネジメントや高品質を言い訳に、新しい技術を使う必要もなかったし、新規開発以外は、既存のスキームのコピーでできるため、大した技術力は求められない。プログラマーの立場でも一度開発を経験すれば、そのシステムの有識者として重宝されるようにもなった。

 

今は既にそうではなくなってきている。プライムコントラクターの立場であっても、技術、特に最新の技術動向を知っていなければ良い提案ができない。これはSEに限らず営業もそうであるべきだ。お客さんの御用達に甘んじていれば、お客さんの事業継続が怪しくもなってくる。

 

当然、システムを実装するプログラマーだって、技術の理解を求められることになる。これまでは、特定のプログラム言語、例えばC言語Javaなどに精通しているだけでも使いものにはなったかもしれない。しかし、既に世の中はパッケージ開発があたり前で、すなわち、他の製品と組み合わせて何を実現するかを問われており、そういうスキルが技術力として再定義されている。

 

古い人は、コンピュータの根本原理を理解していることにすごく重きを置いていたりするけれど、別にそういった根本の難しい部分を理解しているだけでは使い物にならない時代になっている。

 

実際のところ、新しい企画や新技術の活用を検討する時に、果たして、今のプログラマー相当の人たちのスキルを活用しようとすると、壁にぶち当たることが多々ある。また、色んなものを組み合わせるということはステークホルダーも多岐に渡るので、たとえプログラマーであっても一定以上のコミュニケーション能力は必要になる。

 

別の言い方をすると、本来の”プログラマー”という仕事はほとんどの開発現場でいらなくなっているのが現状なのだ。だから、C言語がめちゃくちゃ得意とかJavaの経験がある、ぐらいでは正直なところ、ビジネス創出時には頼りにできない。

 

今、IT業界で生きていくために一番求められるのは新しいことを学ぶスキルに尽きる。この4年間を振り返ってみても、「この人は優秀だ」と感じる人は、新しいことを意欲的にキャッチアップできる人だった。別に世間の中で必ずしも新しい必要はない。要するに「ここまでは自分の領域」みたいな線引きをしない人が結局一番頼りになる。私も無意識にそんな人を目指していたのかもしれない。

 

もし、今プログラマーを目指す人がいるなら、新しいことを学ぶこととコミュニケーションスキルがないと、本当にレガシーシステムの保守・運用とかをやらされることになるので、注意した方がいいだろう。