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そして今日も考える。

分担する技術

仕事を適切に分担するのはそれなりに技術がいる。

 

もちろん、どんな組織でも仕事は分担して進めているとは思うが、分担して進めただけの効果が果たして得られているのかが大事であって、分担したけど何かそんなに速く終わらなかったね、みたいなシーンは多々見かける。ということはつまり、適切に分担できていないと考えるべきなのだ。

 

分担する上での障害は大きく三つだ。

 

まず一つ目。超基本だが、ちゃんと分担できるレベルに作業をブレイクダウンすること。システム開発プロジェクトの場合は、WBSという階層構造で作業分解を行うが、ちゃんと分担可能な範囲に分解することが重要だ。

 

ちなみに、WBSを考えるためのツールは無料で公開しているので、ぜひインストールしてほしい。

play.google.com

 

ただ、このWBSを作る、とか、計画を立てるみたいな作業はそれなりに時間がかかる場合もある。少なくとも計画が立たないと他の作業が進められない、みたいなことになってしまっては意味がない。つまり、分担を考えるまでの時間はできるだけ短くしなければならないのだ。

 

どうするかというと、ざっくり分担できるレベルの粗い計画を立てる。そこから先の作業分解は分担を決めてそれぞれで進めてもらう。あとは各々で作成した計画のパーツを積み重ねれば全体計画となる。他にも例えば、計画と平行してもう見えている直近の作業に着手してもらう、でもいい。

  

そして二つ目。殊の外、日本企業においては人に対して仕事を割り当てる、みたいなやり方が取られるため、誰が何の仕事をやるのが適切なのか判断がつかないシーンが毎度毎度訪れる。特に、チーム内での検討事項は、「誰が」「何を」するのかを決めるということがよく必要になる。

 

ここで、大事なのはみんなで相談して決める、みたいなやり方はしないことだ。もちろんリーダーによってはそういうやり方を選択するもいるが、私に言わせればその時点で一歩意思決定が遅れている。セオリー的にはスキル適正、経験、稼働量などで決めるべきだろうが、適当でもいいからまず決めることが大事だ。別にスキルが足りなければ、それはむしろ成長のためだとも言えるし、稼働量の問題は進めてみてから再度調整すればいい話。

 

そして、最後。分担したら、ちゃんと任せること。特に、みんなよくわかっていない仕事をすることになると、なるべく多くの人が一緒になって考えようとしてしまうことが多い。これはここ半年間新規ビジネスの検討をしていたのでよくわかる。やたらとみんなで考える時間が多くなってしまうのだ。

 

 これはある意味良いアイデアを生み出すためには必要なアプローチにも思えるが、「みんなで考える時間」を作りすぎると生産性は極端に落ちる。みんなでやるのは「ブレスト」の場だけでいい。例えば、ブレストの結果をまとめる、みたいな仕事は一人でやろうが数人でやろうがほとんど大差はない。日本人の生産性が低いのは打ち合わせが多いのももちろんだけど、「みんなで考えましょう」が多すぎるのではないだろうか。

 

資料のレビューをむやみやたらにやるのも、ちゃんと任せきれていないからで、これも生産性が落ちる。レビューをすればするほど品質は上がるという幻想に取り憑かれている人は非常に多いが、たかがコミュ二ケーションツールである資料にそこまで過度な品質はいらないし、そもそも初めからちゃんと作れる人が作ればいい。

 

分業をちゃんと効率化するためには、必ず分担する技術が必要なのだ。