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そして今日も考える。

仕事を支える心技体

スポーツなどではお馴染みの「心・技・体」という言葉があるが、これは仕事を進める上での要素でもある。「心」は精神力、忍耐力など、「体」は体力、沢山働ける健康状態であること、そして「技」は何かしらの経験や知識に裏付けられた専門性とでも考えてもらえれば良い。

 

どんな仕事でもこの3つの要素は必ず必要で、ただ職種やポジションによっては求められるバランスが異なる。

 

例えば、ブルーカラーな肉体労働などは圧倒的に体力仕事なので、心:技:体=3:1:6ぐらいの比率だろう。当然、体力仕事が得意ではない人には合わない。が一方で、体力さえあればアルバイトでもできるような仕事はある。

 

しかし、これまで勉強しかしてこなかったので、専門性はあるが、精神力や体力はほとんどない人。例えば、心:技:体=1:8:1みたいなバランスの人からすれば想像以上にキツい仕事になるはずだ。

 

つまり、今の仕事がキツい場合は、自分が理想とする心技体のスコアバランスと合っていない可能性が高い。そして、ほとんどの仕事は実際にやってみない限り、心技体がどんなバランス配分で求められるのかがわからなかったり、世間のイメージと実態が異なる場合が往々にしてあるから注意が必要だ。

 

例えば、私のやっているSEという仕事。どんなバランスをイメージされるだろうか。もしかすると、IT技術に長けた専門家というイメージを未だに持っている人もいるかもしれないが、少なくともSI系のエンジニアに求められるバランスは心:技:体=4:2:4ぐらいである。

 

別に技術力が不要と言っているわけではなく、技術を持っていることよりもハードワークに耐えられることの方が重要だったりするし、言いにくいことを言いにくいタイミングでもちゃんと伝えるであったり、納期のプレッシャーに負けずに重要なことはやりきる、などの心理的な側面が大きい、ということだ。(そもそもほとんどの仕事がそうなのでは?という気がしないでもないが。)

 

仕事中に病んでしまう人のほとんどがこういったバランス感覚のギャップに苦しんだからこその結果だ。仕事に少し違和感を感じているなら、少しこういった目線で考えてみてほしい。

 

ただ、この心:技:体のバランスは再分配ができるのも事実である。例えば、沢山手でやると3時間ぐらいかかる作業を自動化して5分にする技術を持っていれば、体の負荷を技でカバーすることができる。他にも、自分の技が足りなくても、忙しそうな先輩に即座に質問しにいく心があれば、技の負荷を心でカバーすることもできる。

 

しかしながら、心を体でカバーしたり、体を心でカバーすることは基本的にはできない。この2つは土台なのだ。そして、私などは技で心や体の負担を常に軽くしたいと考えてはいるものの、実際のところは逆方向に進んでしまうことが多い。

 

先ほど述べたSEという職種のバランスも本来は「技」で対応すべき点を「心」や「体」でカバーすることに甘んじてきた末路だと言える。問題が発生したらまず「要員を増やす」、という一手を打つプロジェクトマネージャもそういう思考法が身についてしまっているのだろう。「品質向上研修を全員に受けさせる」という「技」を上げるための対策を打っても良いはずなのだ。

 

あなたの理想の配分はどうだろうか。