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そして今日も考える。

大企業に具体的なビジネス課題とかないのでは

しばらくぶりの投稿になる。久しく書いていないと、いざ書き出す時に何を書けばよいかがわからなくなる。とりあえず、ここ半年ぐらいは、なんちゃってデータサイエンティスト(データアナリスト?)な仕事をしており、まぁそんな中で思ったこととかを書き留めておこう、というのがタイプするモチベーション。

 

データサイエンティストを知らない人のために補足をしておくと、「さまざまな意思決定の局面において、データにもとづいて合理的な判断を行えるように意思決定者をサポートする職務またはそれを行う人のこと」だそうだ。

 

ただ、高度な統計理論や分析手法を用いたり、Python使ってAIの予測モデルを構築したりする人をイメージされることも多い。事実、通常使われる言葉の意味もそのイメージに近いと思う。なので、本来定義的には、「データを使って意思決定をサポートすること」ではあるが、おそらくそういう人はデータアナリストと言った方が伝わりやすい気もする。

 

その文脈で言うと、私はまさに意思決定をサポートする仕事、というのが望ましい。クライアント企業で実際に打つマーケティング施策として何をすべきか?どうやるのが正しいのか?を提言する。そのために必要な材料としてのデータ分析や予測モデルの構築をしているが、別にデータ分析をすることは手段でしかなく、高度なPythonを使うことはほとんどない。(SQLはよく使うが。)

 

だから、社外では自分のことをデータサイエンティストとは名乗らず、データアナリストかあるいはアナリティクスコンサルタントとでも名乗ろうかと考えている今日この頃である。

 

で、この「データ分析」という領域は今もなお色んな企業で叫ばれているバズワードであり、ホットな領域と言われている。市場としてもおそらく成長しているだろう。色んな各クラウドベンダをはじめとしたデータ分析基盤技術や、CDPやBIツールなども枚挙にいとまがないほど登場している。

 

というのも、近年IT業界で叫ばれる「DX」の実現、データドリブンな経営が重要、という主旨の発言が、あらゆる戦略系コンサルのレポートやIT関連の書籍で語られており、データ分析とは切っても切れない関係にある。

 

このようにある特定の領域が盛り上がってきた時に必ず生まれるサービス派閥がある。①製品を作って売る会社、②利用技術を極める会社、③実ビジネスへの活用を支援する会社、④人材を育成する会社、大きく分ければだいたいこの四つぐらいである。もちろんきれいに分かれることは滅多になく、全部やっている会社もあるがそれぞれどこに重きを置いているかは違うことが多い。

 

例えば①は製品の中での争いは熾烈ではあるが、SaaS利用が一般化している今はビジネスがストック化しやすくキャッシュフローが安定する。本当はどこの企業もこういった形のビジネスを作りたいと考えているはず。データ分析の場合だと、TableauとかDataRobotとかが該当する。もちろん、ビジネスへの活用なども考えてはいるものの、究極を言えば使い方はあなたたち次第、というのがスタンス。

 

逆に②は手段に特化している。いわゆるデータエンジニアやPythonSQLで高度な分析ができるデータサイエンティストを集めている会社とか。流行ると確実に人手は足りないので、需要はある。でも、人月ビジネスなのと、ビジネスの商流から遠いと言う理由だけで日本では安く買い叩かれる傾向にある。もちろん、他の流行ってない領域に比べれば高いけど。

 

③のスタンスは「結局全てのツールや技術は手段でしかなく、ビジネス成果につなげることこそもっとも価値がある」というもの。私の会社も基本的にはこの思想。言ってみれば〇〇コンサル。確かに事業に近いポジションのため、単価は高くなる一方、③の場合はかなり主体となる事業会社に影響を受けやすいため、汎化や横展開はしづらい点がある。業界共通の課題へのソリューションをまとめていく必要がある。

 

④は①〜③とは少し異なるが、事業をやっている会社の人にスキルがあった方がいいでしょ、というスタンス。これも極端に言えば、武器は授けるけどあなたたちで頑張ってビジネス成果出してよ、ということ。例えば、最近流行りのプログラミングスクールとかがこれに該当。確かに基礎的なプログラミング能力はつくが、それがビジネス成果を埋めるものなのかは全くもって不明。

 

結局どれが最も良いのかは定かではないのだけれど、日本のIT会社は③を選びがちだと思うのね。①のような製品は滅多に生まれないし、②は買い叩かれる割に技術の流行り廃りに追いつかなかなければならない、専門技術を保持した集団でもなければ人材育成が目的ではないから④も違う。結局何が残っているかというと昔から付き合いのある太客との繋がりだけなので、③でやるしかないというのが本音である。

 

そして③を積み重ねて、業界課題からソリューション開発につなげていこう、という話をよくされる。きっと同じようなことを考えている会社はたくさんあるのだろう。具体的な課題を見つけることが重要視されている。

 

しかし、私が思うに具体的な課題を持っている人というのは、大企業にはいない。抽象的な課題はいくらでも上がる。新しい顧客が増えない、若い人に使ってもらえない、もっと業務を効率化したい、いくらでもあるだろう。

 

でも、本当の課題を突き詰めて考えていくと、最新テクノロジーを導入する以前にやるべきことがいっぱいあるケースがほとんど。クラウドにしようとしても自社データを外部に出すのはセキュリティルール的にアウト、とか。それが本当の課題で、それは実は内部で解決すべき問題だったりする。

 

データ活用をしていきたいというのにデータを取れる仕組みは構築していなかったり。パーソナライズをしたいと言っているのに、自社内のカニバリゼーションは認められないからレコメンドの仕組みを変えることはできない、とか。

 

要するに色んなコンフリクトがあってもなお、「何が本当に課題すべきことなのか?」というのがない、と言う話。解決できたら嬉しいけど、血は流したくないし、汗も書きたくない、ぐらいの課題しかないから。やっているフリができてればいい。茶番。

 

大企業に寄生すれば食える時代も終わったなぁと思う。