∑考=人

そして今日も考える。

スパイラル

この世にはしばしば負のスパイラルが発生する。負のスパイラルには様々な形があるが、例えばギャンブル依存症の人なんかがその典型例である。負ける→勝ちを取り戻そうとする→また負ける→・・・。どんどん渦中にはまっていくことになる。もっと身近な例であれば、選挙なんかもそうだ。若者が選挙にいかない→高齢者受けする公約を掲げる→さらに若者が選挙に行かなくなる→・・・。



一つのスパイラルであるとは限らない。日本の大学教育の場合、学生が勉強にやる気を持っていない→教授も真剣に講義をしない→学生はますます勉強をしなくなる→・・・といった一つの負のスパイラルがある。さらに就職という観点で、学生が勉強にやる気を持っていない→企業は学業以外の努力を評価する→学生はますます勉強をしなくなる→・・・というもう一つのスパイラルが混合している。



一般的に問題を解決する場合には、(悪い)結果の原因を考え、その原因を改めることによって、結果自体を良い方向へと導くようにする。全ての結果には原因があり、その原因こそが根本的な問題である可能性が高いからである。しかし、スパイラル構造になっている問題は脱却が難しい。まず、原因探しが困難である。例えば、選挙の場合、「若者に選挙に行かない」ことが根本的な問題なのか、「高齢者受けする公約を政治家が掲げている」ことが根本的なのかの判断ができないからである。実は、原因の特定という重要にも思えるこのプロセスは、負のスパイラル状態においてはただの責任の擦り付け合いでしかなく、あまり建設的とは言えない。どちらも原因だからである。



ビジネスでも負のスパイラルはあらゆるところで起こっている。例えば、ソフトとハードの関係、ショッピングモールとショップの関係、家電量販店と電化製品の関係。どちらか一方の質が良いところには質の良いものが集まり、質の低いところには質の低いものが集まりやすくなる。実際には、質の高い場所ほど量が集まるため、結果的に質が高いものが多く集まったかのように見える。



例えば、日本人には優れたバスケットボールプレイヤーが中々現れないが、それは日本人の身体能力や身長が低いとかそれ以前に、日本のバスケットチームが有名ではないため、バスケットボール選手を夢見る選手が少ないからである。結果的に、ますます強い選手が現れなくなるのだ。



ただ、ビジネスで成功を収める産業はかならず負のスパイラルを脱却している。ZOZOTOWNや楽天などオンラインプラットフォーム型のビジネスはまさにその一例であろう。初めは今ほどの品揃えがあったわけではないにも関わらず、今では正のスパイラルへと転換している。



因果関係を打ち破れない限り、良いものは生まれない。