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そして今日も考える。

ヘアースタイルコンサルタント

美容師って昔から業務内容が進化していないように感じるんですよね。よくも悪くもそのまま。少し前にQBハウスが斬新なビジネスモデルで注目を浴びたけど、あれも店の場所と価格設定や時間が他と大きく店と異なるだけで、業務内容自体が変わったわけではありません。つまり業務レベルに抜本的な変革はまだ起きていないわけです。

 

今の美容師の仕事を分けるなら以下の2つだと思います。

 

1. お客さんから髪型の希望を聞く、あるいは髪型を提案する。

2. 実際に髪を切る、染める、パーマをあてる。

 

1. はコンサルタントのような上流工程の業務ですね。ヘアースタイルコンサルタントとでも名づけておきましょう。2. は具体的な作業です。システム会社で言えばプログラミングみたいなものでしょうか。下流工程に当たります。

 

個人的には、今後、美容師も上流工程と下流工程に分かれていくんじゃないかと思います。創造性の求められる1. の仕事を専門にする人が高い報酬を得て、2. の仕事をする人はデフレ化していく。今のIT企業のような構図です。

 

髪を切ったり、染めたり、パーマを当てるのは、決して簡単な作業ではないはずですし、技術によって大きく差が出る分野でしょう。しかし、髪型の詳細な設計図なるものがあればどうでしょうか。さらに、その設計図を入力することで、設計図通りの髪型に自動で髪を切ってくれるCAEのようなシステムが登場したらどうなるでしょう。髪を切るのが上手いだけの人はどんどん追いやられていきます。今の日本のプログラマーのように。

 

さすがに本来のCAEとは違って人を加工(?)するわけですから、今の技術力では難しいのかもしれません。実際には髪を切りながら微調整をする作業なのであり、そういったフィードバックシステムも必要になるでしょう。ただ、こういう形のビジネスモデルが出来上がると良いことがあります。

 

一つとして、美容師の給料が上がります。付加価値の低い仕事を機械化、システム化してしまうことにより、当然上流工程を担当する美容師の給料は上がるのは、他の業界を見ても明らかでしょう。一方で、先に述べた通り、下流工程しかできない人の給料は下がってしまいますが。

 

同時に美容師の自由度もあがります。大抵の美容室は月曜日以外は働く必要があり、しかも、人気の美容師であれば営業中はご飯を食べる時間もないほどです。しかし、髪型だけをお客さんと決めて、後は設計図に落とし込めば良いとすれば、かなりの時間短縮になります。

 

また、そのシステムが多くの美容室で普及すれば、決まった髪型のデータを受け取るだけで、後は近くの店で思い通りの髪型にすることができます。医者で処方箋をもらい、近くの薬局で薬を買うイメージです。なので、お客さんが市街地まで足を運ぶ必要がなくなります。同時に、ヘアースタイルコンサルタントは店を構える必要がなく、ノマド的に働くことも可能です。

 

見過ごしがちなメリットとして、髪を切る時に美容師としゃべる必要がないことも挙げられます。中には、美容師さんと会話をするのが楽しいという人もいますが、しゃべりたくない人もいます。事実として、私の友人には美容師としゃべりたくないという理由で髪を1年以上切らなかった人もいました。カットが機会による作業になれば、そういった人付き合いの煩わしさから解放されることができます。

 

このビジネスモデルが実現すれば、まさにWin-Winの関係を満たすことができるのではないでしょうか。今後の美容師業界が楽しみです。