∑考=人

そして今日も考える。

情報系がMacを愛する理由

多くの人が使用しているパソコンはWindowsのものだと思います。最も一般的であり、だからこそ最も使いやすい。そんな認識を持っている人が多いでしょう。もしかしたら、Windows以外にパソコンなんてあるの?と思っている人もいるかもしれませんね。

 

私もWindowsの方が絶対に良いと思い、現在使用しているノートPCを一年前に購入しました。もちろん、MacのPCも一応検討はしました。しかし、当時の私にはMac購入に至るほどのメリットは何一つ見当たりませんでした。また、素人のくせにMacのPCを買うという行為が、スティーブジョブズに影響された、いかにもミーハーな人間であるように思われてしまうのが嫌だったからです。(逆に言えば、Macを使う人間をそういう目で見ていました笑。)

 

つまり、Macは見た目がカッコイイだけで、性能面ではWindowsに劣ると考えていたのです。Macがデザインなど、グラフィック系に強いという知識は持っていたので、Macユーザーに対して、お前らどうせグラフィックなんて使わないのに何カッコつけてんだよ、みたいに思っていました。

 

でも、情報系の大学院に進み、蓋を開けてみれば、ほとんどの人がMacを使っていました。つい最近までは彼らのことを、ジョブズに憧れるただのカッコつけとばかり思っていました。でもなんでMacを使っているのか、理由を聞いてみると、皆が口を揃えて言うのです。「Windowsは使いにくい」と。

 

そのWindows特有の使いにくさがようやく私にもわかってきました。一つとして、コマンドのバリエーションがしょぼいことです。プログラムを開発したり、サーバーを動かしたりする人にとってはコマンドが非常に重要になります。

 

ここで言うコマンドとは、簡単に言えば、直接コンピュータに対して与えることができる命令文のことです。Windowsではコマンドプロンプト(スタートボタン→すべてのプログラム→アクセサリの中にあるアプリ)を起動すれば、そこにコマンドを入力することができます。例えば、「dxdiag」と入力すると、診断ツールが起動され、自分のパソコンのスペックを確認することができます。

 

もちろん、どんなコマンドを入力しても応答が返ってくるわけではなく、ルールに沿ったコマンドを打ち込まなければいけません。そして、そのルールはOSによって異なるため、WindowsとMacでは結構違います。ちなみに、Macでのコマンドプロンプトに相当するアプリはターミナルと呼ばれます。

 

そして、コマンドによってコンピュータに直接指示を与えるためのルールはMacのものが一般的なようです。(少なくとも私はWindowsのコマンドプロンプトで操作している人は見たことがありません。)なぜかというと、Macのターミナルの方が便利なコマンドがたくさんあるからです。使いやすいのです。

 

例えば、Macには「yum」というコマンドがあります。これは何かというと、「あるコマンドを使うために必要なパッケージを勝手にインストールして使える状態にしてくれる」コマンドです。実はターミナル(あるいはコマンドプロンプト)で使用できるコマンドは最初から標準装備されているものだけでなく、新しく追加することができるのです。

 

標準装備されていないコマンドを使用するためには、ネット上からパッケージ(コマンドを使うために必要なファイル群)をダウンロードして、適切なディレクトリに配置したり、既存のプログラムファイルを少し書き換えたりする必要があったります。このため、Windowsでは新しいコマンドを使える状態にするまでが大変だったりしますが、Macだとそれすらも既存のコマンドで実現できてしまう、というわけです。非常に便利です。

 

Mac限定のような言い方をしましたが、実際にはUNIX系OSのパソコンはほとんど同じコマンドが使えます。しかしながら、LinuxなどのOSはインストールや環境を整えるまでが結構難しいものです。(私も断念しましたた笑)また、Windowsでターミナルを使えるCygwinという有名なソフトがありますが、これも標準装備されていないコマンドが多かったり、追加するのが難しかったりと、余計なところに労力がかかることがしばしばです。

 

そういった苦難を乗り越えてこその情報系だろ、という意見もありますが、できれば本質的な部分に労力を割きたいと考えている情報系の人たちは、使いやすいMacを愛用するのです。