∑考=人 〜プロメテウス〜

そして今日も考える。

フェルミ推定的思考ができることが社会人としてのファーストステップ

日本は基本的に新卒一括採用ですよね。特別な資格やスキルが求められる会社や職種もありますけど、多くの場合は俗に言う、ポテンシャル採用です。要するに入ってから頑張って成長して下さい、っていうスタンス。遊び呆けている日本の大学生にとっては非常に有り難いシステムです。

 

というわけで、新入社員になったばかりの人は、その会社で必要なスキルとか知識とか、ほぼ持ち合わせていません。でも、会社側も仕事をさせないといけないので、最初は難易度の低い仕事を与え、徐々に難しい仕事を与えていくことで、個人の成長を促しています。

 

とは言っても、適切な難易度の丁度いい仕事なんてないものです。誰でもできるような雑用を任されたと思いきや、人が足りなくなったからいきなり難易度の高い仕事を任されることもある。これが教育との違いです。ビジネスは学校じゃありませんから。

 

なので、与えられた仕事をどうやって完遂すれば良いかわからない、なんてことはざらにあるんです。特に、うちみたいにプロジェクト型の仕事の場合、当然新入社員はわからないことだらけですけど、たぶん、入社10年目の人でもわからないこと、というのは必ずあります。

 

しかし、わからないことがあることって、別に大したことないんですよ。わかるようになればいいので。あるいは、わかる人をどっかから連れてきたり、わかる人から教えてもらえればいいんです。実際、ほとんどの仕事ってそうやって回っています。自分が何もかも理解して何もかも実施する必要はない、と会社でもよく言われます。

 

ただし、次は問題。自分が何がわからないのかがわからない、という状況。こうなると、周りが本腰を入れて支援しないと立ちゆかなくなります。少なくとも主体的に仕事を進めることができません。(なお、やり方がわかりません、というのも何がわからないのかわからないのとレベルとしてほぼ同じです。)

 

たいてい、新入社員とかに仕事を振って、こんな風にやるんやでーと一通り教えた後に質問ある?と聞くと、「ありません」とか言うんですが、いざ着手してもらうと、「ここがわかんないんですけど・・・」、とか言い出すことって多いですよね。まぁ自分もまずわかんなくてもやってみるスタンスなので偉そうには言えないですが、質問できないってことが情報として何が不足しているのか(自分が何をわからないのか)を理解できていないということです。

 

特に、新入社員の頃は、誰に聞けばわかるのかもわからないという問題も必ずセットで付属してきます。よって、まずは自分が何(HowではなくWhat)がわからないのか、何がわかればその仕事を進められるのかをなるべく具体化できるように心がけるべきでしょう。聞かれた方も困らなくて済みます。

 

と、以上の内容を総括すると、社会人になるに差し当たって、フェルミ推定的思考ができるとベターである、という結論に達します。話がちょっと飛んじゃってるので補足していきます。

 

まず、フェルミ推定って何でしょうか。フェルミ推定といえば、就活とかやり出す頃に初めて聞くワードだと思いますが、定義としては下記の通りです。

実際に調査するのが難しいようなとらえどころのない量を、いくつかの手掛かりを元に論理的に推論し、短時間で概算すること(Wikipediaより抜粋)

冒頭の話となんか全然違いますね。笑。全然違っているので、だから、フェルミ推定的思考、と表現してます。フェルミ推定ができることと、フェルミ推定的思考ができることは全く別です。

 

例えば、就活で会社側が学生にフェルミ推定問題を解かせる時も、別にフェルミ推定の正しさで良し悪しを評価しているわけではありません。学生がどういう思考プロセスで考えたかを見て良し悪しを判断しているんです。

 

で、良い思考プロセスとは何ぞや?というと、問題を解くために必要となる情報を定義し、その情報を適切に加工することで結論を出せること、です。そして、これこそがフェルミ推定的思考です。

 

フェルミ推定的思考は太字の前半、後半部の能力で二つに分類できます(下記①、②)。

①問題を解くために必要となる情報を定義し、

②その情報を適切に加工することで結論を出す

これらにはそれぞれ重要なポイントがあります。まず①については、何が必要な情報なのかが分かれば、情報の中身を自分が知っている必要はありません。一方、②については得た情報から結論を出すための加工法は自分が知っておかなければなりません

 

分かりにくいので、ちょっと例題を。例えば、下記のようなフェルミ推定問題を考えてみてください。(といっても、知っている人なら普通に解ける問題です。)

 

問)「地球の表面積を求めよ。」

 

はい、早速解答行きます。

 

解答例)

地球は球形であるため、球の表面積を求める公式を適用可。

また、球の表面積の公式は4×3.14×(半径)の2乗で計算可。

したがって、地球の半径が概ね6,000kmであることを考慮すると、

4×3.14×6,000×6000=452,160,000[平方km]=452.16[平方Mm]

 

どうでしょう。できましたかね。別にこの問題解けなくてもいいんです。ここで、できなければならないのは、解答の2行目までです。

 

つまり、

①地球の表面積を求めるためには、”円周率”と”地球の半径”が必要であると知っている

②地球の表面積を求める公式を知っている

ことが重要なのです。それぞれ上で述べた①、②に対応しています。

 

そして、解答例では普通に数字入れて計算しちゃってますが、①について、円周率の値が何で、地球の半径が何mかを知っている必要はありません。これが、情報の中身まで知っている必要はない、という意味です。本来のフェルミ推定でも、中身の分からない情報は特定の値と仮定することで計算するもんですし。

 

 ちなみにこれが算数や数学の問題だったら間違いなく、ご丁寧にこうなっています。

問)

「地球の表面積を求めよ。ただし、地球は完全な球体であるものとし、地球の半径は6,000km、円周率は3.14として計算せよ。

ちょっとはお分かりいただけましたでしょうか。

 

もちろん、数値自体の正しさや必要な情報をどれだけ過不足なく集められるか、というのも質の良い結論を出す上では大切ではあります。上記の例題でも、地球が楕円球体だと知っていれば、必要な情報量も増え、解き方も変わり、当然結果も変わってきます。

 

もっと言うと、実際のフェルミ推定の例題は、もっとワケのわからない抽象度の高い問題(世界中で今この瞬間にトイレにいる人は何人でしょうか?など)なので、わかりやすい方程式なででは解決出来ないケースが多く、方法論については自分の知識から引き出す、というより自分の頭で捻り出さなければなりません。

 

質の高いアウトプットを出すというのはまた一つ上の難しい壁ですが、フェルミ推定的思考がある程度できるようになれば、新しい仕事を与えられても業務を推進できるようになります。簡単な作業でも、自分はどんな情報をどう加工してこの作業を完成させているのか、という観点を持って進めるといいかもしれませんね。あるいは、就活生の学生さんなら、上記に述べた観点でフェルミ推定問題に取り組んでいくといいんじゃないでしょうか。