∑考=人 〜プロメテウス〜

そして今日も考える。

隠蔽体質の正体

進捗の報告会で「うちのチームは特に問題はありません。」という報告が続くプロジェクトはだいたいヤバいです。俗に言う、隠蔽体質です。若手の私が言うのもなんですが、チームとしてはかなり末期の症状だと言ってもいいでしょう。というのも、プロジェクトという未知の物事に取り組む上で問題が起こらないはずがないからです。

 

実際、私が前回やっていた開発プロジェクトもこう言った状態が永らく続いていました。しかし、現場にいた人間としては明らかに稼働不足、品質も穴だらけ、様々なリスクを積み残している状態でしたね。

 

それでも、進捗報告の議事録を見ると、毎週「特記事項なし」なんて描かれているんですよ。「特記事項なし(笑)」とかにした方がリアリティがあって面白いなーとか思いながら見てました。

 

だから、後になってめちゃくちゃ品質が悪いことが判明して、人員を慌てて投入したんですが、時すでに遅し、でした。幸か不幸か、プロジェクトが途中で中断になったので、結局大事にはなりませんでしたけど。

 

実は進捗の遅れとかって、品質を下げることで割とカモフラージュできるんですね。品質は可視化の仕組みがないと目には見えないですから。人間心理として、そういう楽な見掛け倒しの対策に逃げ込みやすいという教訓を学びましたね。

 

にしても、なぜ人は問題を隠してしまうのでしょうか。その理由をちょっと考えてみました。

 

①自分の評価を下げたくないから

確かに問題を発生させるとその人が無能なせいだと考えられる可能性はあるでしょう。でも、ことのほかプロジェクト型の業務について、問題が発生したときに問題を発生させた人のせいだと考える方がよほど無能じゃないっすかね。

 

毎日同じことを続けていて、決まったやり方が具体的に決まっているルーティンワークならわかりますけど、先に述べた通り、プロジェクトは新しいことの連続だし、状況も日々変わるんだから、問題が発生しない方がよっぽど不自然でしょ。

 

それでも「問題があります」というと評価が下がる可能性はやっぱり残るんですね。例えば、社員の9割が隠蔽体質人間で構成されていれば、相対的に見て「こいつに問題があるのでは?」と思われがちです。なので、評価が下がるのを恐れて言わない、というのもまぁ理由としては成立してるんだろうな、という印象です。

 

ただし、私が働いてきた肌感覚として、評価云々を理由に問題を隠す人は、かなり少数派です。むしろ多いのは以下に述べる二つの理由で隠蔽する人たちです。

 

②被管理稼動が増えるから

仮に、あなたが管理職だったとして、あなたの部下のAさんは一言指示を出せば、品質の高い成果物を納期までにきっちり仕上げる人。もう一方のBさんは一言を指示を出しただけでは、全く的外れな成果物しかできない挙句、納期も少しオーバーしてしまう人だったとしましょう。

 

この場合、どちらをよりウォッチするか。当然Bさんですね。上司として、Bさんの問題のフォローをしていかなければならないので、そのためにより細かく進捗を管理したり、品質をチェックする必要性が増えます。要するに上司の管理稼動が増加するわけです。

 

しかし、これはあくまで上司目線に閉じた話。じゃあ全体で考えるとどうなるか。上司がBさんのフォローに入るのだから、Bさんの稼働は減るのでは?と思いきや大間違いで、Bさんの視点で考えてみても、実は被管理稼動が増加します。

 

Bさんは被管理者として、進捗、品質が上司に伝わるように細かくデータを残す、それらのデータから資料をまとめる、資料を使って実際に上司に報告する、など、本来であれば必要のなかったはずの作業が増加するんです。

 

この手の仕事ってほんとくだらないですよね。私も細工は流々仕上げをご覧じろタイプで管理されるが本当に嫌なため、よほど大した問題ではない限りは「問題ないです」と言ってしまいます笑。チームで働く者としてはあまり推奨できないやり方です。

 

ただ、この理由も実は決定打ではありません。本当の理由はたぶん次のものだと考えてます。

 

③自分の裁量で何とかできると思っているから

私もこれなんですよね。確かに今遅れてるけど、最終的に帳尻を合わすプランが自分の中にある。メンバレベルでは実現性も高そうだと。でも、それをちゃんと論理的に上司たちに説明して納得させることに稼動を使ってるとちょっとやばいな、みたいなことが結構頻繁にあるんです。②の理由との複合するケースです。

 

80%どうにもならないなら、「問題があります。」とエスカレーションはするでしょう。でも、プロジェクトとしての及第点は何とかとれるだろうという自信があると、問題として定義されないんです。

 

これが「自信」であればいいですけど、「過信」だった場合は炎上が待ち構えています。(聞いた話では、みんな自分の裁量で何とかなると過信している人がプロジェクトに限って炎上する傾向があるらしいです。)なかなか難しいところですが、ダメな時はダメだと冷静に判断できる姿勢が求められるようです。

 

どうでしょうね。同業者の方なら共感はしていただけるのでは、と思ってますが。でも私が言いたいのはこの先で、①〜③の原因を深堀すると、全ての元凶は上司すなわち管理職、PMであるということです。

 

①の「自分の評価を下げたくないから」と部下が思うのは、繰り返しになりますが問題を起こさない部下を評価してしまう上司の姿勢が無能過ぎです。そもそも問題がないのなら管理職なんていらないんで、人件費下げてください、って感じです。

 

②の「被管理稼働が増えるから」と部下が思うのは、被管理対象となったとして、上司が何の対策もしないからです。管理職の方の中に、部下にアドバイスをするのが仕事だと思っている人が多いですけど、私たち部下が求めているのは基本的にアクションですので。自分たちにできなくて、上司にしかできないことは要員を増やすことぐらいだと私は思っています。

 

③の「自分の裁量で何とかできると思っているから」というのも、結局のところ、上司という存在がその程度の人間だと見くびられている証です。はっきり言って、見くびってます。

 

また、こういう現状を踏まえ、「問題をちゃんと報告するように」とか催促してくる人もいます。もちろん何もしないよりははるかにマシですが、当の部下は自分で何とかできると思っているので報告のしようがありません。

 

部下任せになるのではなく、私たちのレイヤーからは見えない問題を発見するぐらいの洞察力と、迅速に対策を打つ行動力を見せて欲しいものです。そういう上司の印象が少しでも部下の中にあれば、「実は問題があるんですが・・・」と言いやすいものです。

 

ちょっと自分の隠蔽体質度を振り返ってみてはどうでしょうか。