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そして今日も考える。

運送業者こそ宅配ボックスの設置を推進すべき

今の家でたった一つ気に食わないことがある。「宅配ボックスがないこと」だ。

 

私は基本的にオンラインでしか買い物をしないようにしている。もちろん、食べ物とかついで買いみたいなことはするけど、購買を目的としたショッピングははっきり言ってリアルの世界でやる必要はすでにない。

 

というわけで、必然的に宅配物を受け取る必要があるのだけれど、これが宅配ボックスがないとかなりきつい。常に家にいる時間を固定されるからだ。時間指定ができない場合は、平日の昼間に不在伝票が入れられて、こちらからまた依頼をしなければならないのもかなり億劫に感じる。

 

何より、この仕組み自体の不合理さに憤りを感じる。そもそも、「平日の昼間にいるはずがないのになぜその時間に届ける?」という感情と、その時間に届けた結果、宅配物を受け取る側が再配達の依頼をかける時間が必要になるのはもちろんのこと、実際に荷物を届けに来る配達員の稼働が無駄に思えて仕方がない。

 

こういった意見はネットでもよく散見されるし、サラリーマンにとってはごくごく自然な感想だとは思うけれど、にも関わらず、昼間の配達をやめて夜間帯に届ける、みたいな営業スタイルに変わらないにはきっと理由があるんだと思う。

 

例えば、昼間に家にいる人の割合が実は全国的にみれば、3割〜5割ぐらいを占めている、とか。相変わらず専業主婦はいるし、最近では非正規社員やフリーターも増えている。そうであれば、夜間帯配達にしたところで、サラリーマン以外の層が困るだけであって、結局全体としての無駄の量は変わらない。

 

ただ、夜間帯限定の配達サービスみたいなものが分化してきても良いのでは、とは思う。夜間帯だけにすれば他よりも配送料が抑えられるし、再配達のリスクも減る。ようするにターゲットとするセグメンテーションがデカ過ぎるから、無駄が発生する。コストが嵩む割にはサービスとしての価値がそんなに高くない印象になってしまう。

 

タクシー業界もそうだけど、人手不足が嘆かれている業界って、顧客のターゲット層が広すぎることによる無駄が圧倒的に多い。宅配サービスはネットで商品を買う人全てがターゲットだし、タクシーも「移動したい人全て」だ。だから、「仕事は大変」なのに「給料が安く」、「人手不足」という状態。たぶん、保育園とかも近い要素はあると思う。

 

ターゲットを絞る、というのは一つのやり方として、私は宅配ボックスの設置を期待したい。それこそ、運送業者が推進していくべきだ。

 

そもそも、宅配ボックスを誰が設置しているのか。宅配ボックス付きマンションとかを見ると、デベロッパーとかが設置しているのだろうか。

 

では、宅配ボックスは誰にとってメリットなのか。もちろん、そこに住む人だろう。そこに住む人がメリットを感じるからこそ物件デベロッパーが設置を決めるというのは非常に納得がいく。

 

また、スーパーの西友は「うけとロッカー」という宅配ボックスサービスを提供していたりする。たしか楽天など、オンラインチャネルの購入を促そうとする物流系企業が推進する動きがあるようだ。これも、住む人が受け取りやすいと、オンラインで購入しやすい、という点に着目したから登場したサービスだ。

 

上記は、住む人へのメリット中心の考え方だ。しかし、別に直接的にメリットがあるのは住む人だけではない、そう運送業者である。であれば、運送業者が自分たちの業務効率化を目的に宅配ボックスの設置を推めるのは実に合理的ではないだろうか。副次的に、住んでいる人にもメリットがある、という位置付け。まさにWin-Winである。

 

正直なところ、AIが置き換えようとしている仕事のほとんどは、コストや価値をかけている割には価値が発揮できていない領域である。そこに少し付加価値を加えることができていれば、真っ先にAI化しよう、とはならない。AI化することによるメリットが大きいというのは、裏を返せば、マネタイズの工夫が足りていないと言わざるをえない。

 

というわけで、ぜひ宅配ボックスの設置を推進してほしい。