∑考=人

そして今日も考える。

リクライニングを倒すときに後ろの人にかける一声

最近は、東京と大阪を行ったりきたりして、深夜バスや新幹線を利用していました。で、新幹線や深夜バスに乗ると、椅子に座りますよね。長距離の移動になることも多いので、座りながら睡眠を取る人もいます(深夜バスならほぼ全員だと思います)。

 

そういう時のために椅子に付いている機能がリクライニングです。背もたれを倒すやつです。別に眠る必要がなくても、リラックスするために傾ける人もいると思いますが。前置きが無駄に長くなりましたが、集中的に長距離の乗り物に乗る機会を経て、リクライニングを倒す際、後ろの人にかける一声「下げても(倒しても)いいですか?」って必要なのか?ということについて疑問を持ったわけです。それが今日のテーマです。

 

まず、私のスタンスとしては3回に1回ぐらいは声を掛けます。完全に気まぐれです。後ろの子が女の子で、しかも可愛ければ確実に掛けます。おっさんならたぶん掛けません。もしかすると、声掛けを徹底していない私は社会的に糾弾されるべきなのかもしれません。しかし実態として、周囲を見渡してもあんまり声掛けをしている人はいませんでした。

 

確かに、一般論としては声を掛けてあげた方が相手にとっては気分が良いでしょう。しかし、時と場合によっては(後ろの席の人がiPodを聞いているとかすでに寝ているとか)、かけない方が懸命であることもあります。極端な例で言えば、他人に話しかけられるのがそもそも嫌、ということもあるでしょう。

 

何より、「下げてもいいですか?」と聞かれたところで「いや、倒すのやめてください」と主張する権利は後席の人にはない、というところが一番の問題です。いやいや。断れないなら聞く意味ないでしょ、って私は思ってしまいます。

 

実は、パチンコ屋で働いていた頃にも同じような無意味な声掛けに出くわしたことがあります。お客さんがスロットを売っていてメダルがいっぱいになった時の声掛けです。

 

まず、パチンコ界隈の共通事項として、各スロット台の上には、出メダル(ボーナスによって放出されたメダル)をだいたい二箱分ぐらいしか置くスペースがありません。そのため、出メダルが二箱を超えたときには、「別積」といって、客席の後ろあるいは離れた場所にメダルを置いて管理する方法が主流になっています。

 

余談ですが、この別積をする意図は大きく2つあります。1つは単純にメダルが上から落ちてくる危険があることです。私のパチンコ店員人生で実際に落ちてくる現場は見たことありませんが。そして、もう一つが実はパチンコ店にとって重要で、演出効果です。要するに、「うわーあの台めっちゃ出てるー」と思ってもらうための策略になります。

 

そのため、店側は、なるべく早く別積をたくさん作りたいと考えます。(別積がたくさんあると、店全体としてが出るイメージを植え付けることができると考えられているからです。)よって、大抵、一箱半〜3箱ぐらいの間には別積をさせてもらうためにお客さんにこちらから声掛けをする必要があるのです。

 

私が最初に働いていたお店のオペレーションは実に斬新でした。台の上の箱が二箱になったお客さんに「別積をさせていただいてよろしいでしょうか」と聞きます。ここまでは問題ありません。その後です。オペレーションとして、お客さんに断られても別積を強行するというルールになっていたのです。これは正直笑えました。トラブルになったことがないのが不思議でなりません。

 

結局、新幹線の椅子を下げる際の声掛けと本質的には同じです。断る権利のない相手に対して了承を得るための一声なら要らなくないですか。人によっては、疑問形で聞かれること自体、おちょくられていると感じるかもしれません。そう考えると、声をかけるのが必ずしも相手にとって気分のいいものではない、ということにもなりかねません。

 

そもそも、背もたれを倒す人の方が圧倒的に多いのだから、背もたれがある程度倒れている状態を標準状態として設計すれば問題は解決するよるんじゃないですかね。背もたれを真っ直ぐにしたい人だけまっすぐにすればいいわけです。しかも、それは後ろの人にも前の人にも迷惑を掛けません。自分のスペースが狭くなるだけです。無駄な声掛けも要りません。

 

まぁ、飛行機が着陸時にリクライニングを元に戻さないといけないように、深夜バスや新幹線にも標準状態の背もたれが垂直に設計されている何かしらの理由があるのでしょう。なので、リクライニングを倒す際は、せめて「下げますよ?」とか「下げますね?」みたいな付加疑問文的な表現を使いましょう。念押しです。まぁやってる人もいると思いますけど。