∑考=人 〜プロメテウス〜

そして今日も考える。

英語とプログラミングと、義務教育

ちょうど大学生から社会人になる境目に受験したTOEICを最後に、私は英語を勉強することを諦めた。いくらこんなことをやっても、英語ができるようにはならないと確信したからだ。

 

英語と少し似たものに、プログラミングがある。私は大学院に入ってから初めて情報系に転身し、最初の数ヶ月間は入門書に沿ってプログラミングの勉強をしていた。しかし、結局は長続きはしなかった。これについても、いくらこんなことをやっても、プログラミングができるようにはならないと確信したからだ。

 

この二つの共通点は、どちらもある目的を達成するためのツールでしかない、ということである。ある目的がはっきりしていないと、何をもって”できる”なのかがわからないため、いつまで経ってもできるようにはならないのだ。

 

とは言え、大体の目的は決まっている。英語ができるようになりたいのは、英語で自分の意見を伝えること、英語で人の意見を理解出来ることを目標にしている。とりわけ日本人は話せない人が多い。

 

プログラミングについても同様で、Webサイトなりシステムなり、ソフトウェアを作れるようになることを目標にしている。そして、何らかのソフトウェアを作るためには、プログラミングを学習する必要があると考える。

 

しかし、これらは本来学習で身につけるものではない。英語が上達する一番良い方法が何かというと、外人の恋人を作ることだという話を聞いたことはないだろうか。あるいは留学など、実際に海外に行ってみること。彼らは例外なく英語が上達する。

 

その理由としては、圧倒的に英語によるインプットとアウトプットの量が増加することも一つであるが、何よりも英語を学習する目的がはっきりするからである。ここからは私の仮説であるが、実際に海外で使っている英語は、私たちが受験勉強やTOEICなどで学習する内容よりも圧倒的に少ないと思う。だって、私たちが国語で勉強してきたような難しい言葉や言い回しって普段の生活では使わないでしょ。

 

プログラミングに関しても全く同じで、こういうアプリが作りたい、というイメージが鮮明な人の方が圧倒的にプログラミングは上達する。分厚い〇〇言語入門に乗っているうちの10%ぐらいで作れるから。ポインタを理解してなくても開発できるし、HTMLのタグを全て理解しなくてもWebサイトは作れる。もちろん、調べながら進めるので大変だけど、本当に今必要な知識のみに絞られるから理解が早いのだ。

 

そして、実践の中での学びが良いのは、基礎的な知の組み合わせ方を学べるところにもある。

 

私たちが英語の教科書で学べるのは、文法の基礎がほぼ全体を占める、プログラミングの教科書でも、構文の基礎がほぼ全体を占める。でも、実践の中で使うのは99%が応用問題である。つまり、”基礎をいかにして活用するか”が大事なのだ。if分だけで一般的なソフトウェアを作ることはできない。

 

しかしながら、私たちが学校などで学ぶのは、2つの基礎を組み合わせたレベルの応用問題が少しあるぐらいである。基礎パーツが100あれば、2つを組み合わせるだけとしても5000通ぐらいある計算になる。実際には3つ4つ組み合わせることもあるのだから、全く持って不十分なのだ。というよりも、体系的な学問として全てを学ぶことなどそもそも不可能、という意味である。

 

だから実践が有効となる。実践は決して網羅的ではないし、体系的に理解することは難しいかもしれないが、基礎的なパーツをいかにして組み合わすことで実践レベルで使えるかを学ぶことができるのだ。当然、実践レベルでの使い方を学ぶのだから、早く実践できるようになっていく。

 

まとめると、英語やプログラミングができるようになるためには、直接それらを学ぶのではなく、別の目的のために英語やプログラミングを利用することが近道なのである。この場合、目的はただの道しるべなので、モチベーションが上がるものなら何だっていい。逆説的に言うと、ここでの目的に特に意味はないのである。

 

さて、ここまでは英語とプログラミングの話に終始していたが、タイトルに入っている義務教育も全く同じ構図をしている。ただし、義務教育を学んでも義務教育は身につかない、ということではない。

 

私は日本の教育に疑問こそ持っているが、義務教育自体は良いことだと考えている。それは、他でもなく、勉強そのものを学ぶことには役立っているからである。英語の実践が海外での生活、プログラミングの実践がアプリ開発なら、勉強の実践は義務教育なのだ。義務教育そのものに意味はないが、義務教育を道しるべとすることで早く”勉強”を学ぶことができる。

 

真っ当に義務教育を受けてこなかった人は単に勉強しろと言われてもどうやって勉強すれば良いのかがわからないのである。今になって「勉強のやり方」なんて本を読むより、実際に勉強をやろうとしてみて、できないことを一つ一つ潰していく方が速い。

 

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