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そして今日も考える。

STAP細胞論文事件ってコピペ自体が悪いわけではないよって話

STAP細胞が世間を騒がせていますね。私の周りでもよく話題になっている自治ネタです。やはり学士論文、修士論文を書いてきた身としてはそれなりに気になるトピックではあります。

 

STAP細胞は万能細胞と呼ばれるものの一種で、色んな臓器に形を変える(?)ことのできる細胞だと認識しています。少し前に大盛況だったiPS細胞みたいな感じなんでしょうね。(間違ってたらごめんなさい。)

 

そんなことはどうでもよくて、問題になっているのはSTAP細胞に関する論文についてです。ただ、私としてはこれほど大々的にメディアに取り上げられるトピックでもないような気がしています。

 

STAP細胞の論文について指摘された問題点は、まず、画像の使い回しの疑いです。STAP細胞から変化したマウスの胎盤の画像が、別論文で使用されていたものと酷似している、とのこと。

 

他にも、論文自体の記述が、海外の別の論文の記述と酷似しているという指摘があります。こちらを見ると、どんな感じに記述をパクっているのかがわかります。結局、早稲田大学では19人もの学生がコピペをしていたという話にもなっています。

 

こういった報道が続くと、どうしてもコピペ自体に問題があるかのように勘違いされてしまいそうですが、それは違います。今回一番の問題なのは、無断盗用であることです。

 

一般的に論文を書く際には、他の論文のデータ等を参考に示すのが当たり前です。一部の記述に留めるのか、実験結果をそのまま引用するのかはモノによります。なので、いくらコピペがあったとしても、参考文献の欄に使用した画像やデータの元となる論文のタイトルを記述しておけば無問題なのです。

 

例えば、STAP細胞の件で、実験方法などの記述が海外の論文と全く同じだったと指摘されていますが、これは引用さえしていれば、全く問題無いと思います。なぜなら、同じような実験をするのであれば、実験方法も同じようになるし、そのための記述もだいたいは同じようなものになるからです。これをわざわざコピペでないように修正するのははっきり言ってアホらしいし、研究者としてはそういった価値のない部分に注力するべきではないと思います。

 

たいていの研究は、既存の研究結果に少し付加価値を加えて投稿、という流れが繰り返されながら進んでいきます。そのため、実は論文の7割ぐらいはすでにわかっている事柄について述べられていたりもします。そういった部分を述べる際にはもっと積極的にコピペを利用していった方が、3割の新規性の高い部分について詳しく言及できるようになるんじゃないでしょうかね。

 

もちろん、ほぼ10割がコピペ、なんてのはクソ論文です。でもコピペをバランスよく活用していくのは全く悪いことではないし、これからの時代にあっているはずです。(オープンソース・ソフトウェアなども既存のものに皆が少しずつ新規性を加えることで進化します。)

 

今回の事件で、コピペ自体が悪いことであるような印象ができてしまったのは残念ですが、ものは使いようです。既に確立されていることについてオリジナリティを出そうとするよりも、まだ確立されていない部分についてオリジナリティを発揮するために、既知の領域についてはコピペを活用するのも大切な考え方です。